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箱根関所

箱根関所

江戸幕府によって、芦ノ湖のほとり、山と湖に挟まれた東海道の要衝に、箱根関所(箱根関)が設置されたのは、1619年(元和5年)のこと。元々、この地は西から関東方面へと至る交通の要衝であり、関東防衛の拠点として重要視されていた。室町時代の鎌倉府もこの箱根に関所を設置して通行税(関銭)を徴収しており、戦国時代には北条氏(後北条氏)が山中城を築き、この地を戦略拠点の一つとしている。

東海道を江戸と京都、大阪を結ぶ重要な街道とみなしていた江戸幕府も江戸防衛の要としてこの地に関所を設け、通行時間を定め(明け6つから暮れ6つまで)、厳しく取り締まった。幕府が全国に設置した53に上る関所の中でも、東海道の新居、中山道の碓氷、木曽福島と並ぶ規模の大きなもので、幕府がこの地を重要視していたことがわかる。

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京口御門
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一般的に、関所では「入り鉄砲に出女」を特に取り締まったといわれるが、この箱根関所では江戸方面からの出女を特に厳しく取り締まっていたとされる。「入り鉄砲」とは文字通り、江戸に鉄砲をはじめとする武器を持ち込むことで、「出女」とは江戸から出ようとする女性、特に大名の奥方や子女のことだ。江戸幕府は、各地の藩を治め、謀反などを未然に防ぐために、大名の奥方や子女を江戸に住まわせ、それを監視しており、いわば人質を軟禁するような形となっていた。それらの「人質」が江戸から逃げることは、すなわち謀反のおそれがある、ということで、それを防ぐために、「出女」を厳しく取り締まっていたというわけだ。

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江戸口御門
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屏風山と芦ノ湖に挟まれたこの地は自然の要害として、箱根山中を通る東海道の中でも通行人を監視、取り締まるのに適した場所であった。山の中腹から湖の中まで柵を設け、関所裏の屏風山には「遠見番所」、芦ノ湖南岸には「外屋番所」が設置され、関所の両側に江戸口、京口両御門を構え、大番所と足軽番所が向き合う形で、通行人を監視していた。

関所と街道周辺の山林は、要害山・御用林に指定され、関所を通らずに山中を通過して「関所破り」「関所抜け」を行おうとたくらむものは厳罰に処せられたという。

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箱根関所には、弓5・鉄砲10・長柄槍10・大身槍5・「突棒・刺股・袖搦各1」の三つ道具1組・寄棒10が、常備されていた。とはいえ、これは見せかけで旅人に心理的な脅しをするためのものでほとんど使われることもなく、例えば鉄砲には火薬が入っておらず、弓があっても矢がほとんど無かった、等が判明している。

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番所には、等身大の人形が飾られており、往時の雰囲気を想像することができる。箱根関所は、相模国足柄下郡及び箱根山を挟んで接する駿河国駿東郡を領地とする小田原藩が管理運営を任されており、関所に詰める役人は、関所役人と呼ばれ、一ヶ月交代で務めていた。関所役人が小田原から箱根関所に赴任する際には、様々なものを持参している。例えば、関所役人の責任者である伴頭が持参した物として、黒紋付上着・野袴・裃・小袖・股引・足袋等の衣類や米・鰹節等の食料品、筆・硯・半紙等の筆記用具類、酒・茶・煙草等の嗜好品、茶碗・皿・鉢・蝋燭・雪駄・草履・針や糸などの日常生活用具等のほか、前任者との引継ぎ時の酒宴用の肴などが入ったお重等も持参している。

関所には、伴頭以下5人の関所役人のほか、関所の近くに居住し、代々関所の様々な実務を行った「定番人」や、出女を調べるための女性の役人「人見女」、関所の掃除や柵の補修・点検などの雑務を担当した「足軽」など常時20数名が務めていた。

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箱根関所は、1869年(明治2年)に明治政府が全国の関所を廃止した際に機能を停止し、その役割を終えている。1922年(大正11年)には「箱根関跡」として国の史跡に指定され、1965年(昭和40年)には番所の建物が復元、その後、1983年(昭和58年)に発見された、慶応元年(1865年)に完成した大規模修理についての克明な資料をもとに、2007年(平成19年)に大番所、上番休息所、京口御門、厩(うまや)が復元整備を終え「箱根関所」として一般公開された。現在、大涌谷や箱根神社と並ぶ、箱根の人気観光スポットの一つだ。

箱根旧街道

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箱根関所に通じる街道は、「箱根旧街道」として国の史跡に指定されている。
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旧東海道

箱根宿

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明治初期の箱根宿

箱根宿は1618年に、箱根峠と箱根関所の間に東海道五十三次の10番目の宿場として設置された。人が居住していなかった山中を切り拓いて新しく作った為、麓の小田原宿、三島宿の住民を50戸ずつ、強制的に移住させたといわれている。1843年(天保14年)の箱根宿の人口は、844人(男438人、女406人)で総戸数は197、(うち本陣6、脇本陣1、旅籠36)、名物は寄せ木細工にサンショウウオ、甘酒とされている。標高約750メートルの山間にあり、関所に隣接していた宿場ということもあり、本陣の数は東海道で最も多かった。

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芦ノ湖

御番所茶屋

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箱根関所に隣接する御番所茶屋では、「関所だんご」「道中だんご」などを楽しむことができる。遊覧船の乗り場「箱根関所跡港」にも近く、芦ノ湖を眺めながらの小休憩にぴったり。団子を食べて、お茶を飲めば、江戸時代の旅人気分。みそおでん、煮込みおでん、揚げ天、ソフトクリーム、みたらし団子ソフト、おしるこ、甘酒、缶ビールなどもある。

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