中野の猫
公開日: 2015年3月8日 | 最終更新日 2015年9月1日
空気の中に、春の気配を感じるある日の午後、中野の住宅街を歩いていると、小さな神社を発見した。境内は「天神公園」という名前の公園になっていて、遊んでいる子供たちこそいなかったが、何やら懐かしいようなくすぐったいような、緩やかな雰囲気に包まれていた。時計の音が聞こえてきそうなほどに、時間は静かに流れている。
神社に参拝しようと、ふと手水舎の足元を見ると、ちょこんと猫が座っていた。穏やかな雰囲気だから、猫も穏やかなのか、それとも猫が穏やかだから、空気も穏やかなのかはわからないが、何とも言えぬ平和な風景。まさに「ほっ」とする感じだ。
しゃがみこんで猫を見る。猫もこっちを見る。平和な光が斜めから差し込んでいた。猫は視線をずらす。こちらもそっぽを向く。何とはなしにまた猫を見る。猫もなんとなくこっちを見る。そんなこんなで、気が付いたら20分くらい経っていたのでした。