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かずら橋

かずら橋

祖谷のかずら橋

それは不思議な存在感で、そこにありました。幾つもの山を越え谷を渡り、ようやくたどり着いた山奥の渓谷。まるで生きているかのようにツルがツルを掴み、そして支柱である大きな木に絡まって渓流の上に横たわっているのです。

その上を通り行くものを選ぶかのような気さえするほどに、その橋は生命に満ち満ちていました。

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かずら橋かずら橋

鬱蒼と茂る木々の中、谷は深く山肌を削って落ち込み、その合間を流れ行く水が足の間、はるか下に見えています。

一歩足を踏み外したら、と怖さを感じながらも掴んだシラクチカズラのツルは、表面の冷たさの内側に植物独特の温もりを帯びていて、そこには限りなく頑丈に、渡りゆくこの身を守ってくれている、そんな安心感もあります。

対岸までの長さ45メートル、橋幅2メートル、水面からの高さ14メートル。「見るからに 渡るも嫌(祖谷)のかずら橋 身もはいかかる 心地こそすれ」と浪花桃苗にも歌われる吊り橋です。今では国内外から年間およそ数十万人もの観光客が訪れます。

平家落人伝説の里「西祖谷村」にかかるこの「かずら橋」は、追っ手から逃れるためにいつでも切り落とせるよう、ツルで編んだ橋をかけたのがその始まりと伝えられています。

またこの地を訪れた弘法大師が、地元住民の不便を解消するためにかけたという伝説も残っています。

往時は13ものかずら橋が祖谷にあったと伝えられますが、次第に姿を消し、1928年(昭和3年)、地元の人々の熱意によりこのかずら橋がよみがえりました。

現在ではワイヤーで補強されていますが、それでも橋面の隙間から下を流れる水が見え、人一人渡っただけでもゆさゆさと揺れる橋はスリル満点です。

かずら橋
かずら橋
かずら橋かずら橋

かずら橋は三年に一度架け替えられます。地域の住民達の手で行われるというその作業も見ごたえ十分。

かずら橋
かずら橋かずら橋
かずら橋
かづら橋は一方通行になっていて、混雑時には橋の手前で待つこともあります。空いている時と混雑時はかかる時間も異なるので、スケジュールには余裕があると安心。橋そのものは、普通の橋と比べると見た目は弱そうに見えるかもしれませんが、思いのほかしっかりとしており、ワイヤーの補強も入っているのでそれほど恐怖感はありません。ただ、揺れがあるのと、足元に隙間が空いているので高所恐怖症の方にはちょっと怖いかも。
かずら橋
かずら橋

祖谷のかずら橋 まとめ

徳島県西部の山奥「祖谷」の地にある植物でできた橋「祖谷のかずら橋」。一説には平家の落人伝説とも結びついているとされる歴史的な意味合いを持つスポットでありながらも、スリル満点でエンターテイメント的な要素も兼ね備えたスポットです。昔とは違い、高速道路も通って道路事情もよくなった今、徳島市内からでも2時間、高知市内からなら1時間半ほどで着いてしまうので、いわゆる「秘境感」も薄れてきている気もしますが、かつてはこの山深い地に来るためには幾つもの峠や山を徒歩で人が通っていたのかと思えば、平家の落人伝説も少し身近に感じられる気がします。

アクセスの便利さという意味での「秘境感」は薄れてきていても、豊かな自然と連なる山々の景観という意味での「秘境感」はやはりとっても濃厚。ツアー等であれば祖谷の観光スポットの一つとして「祖谷の小便小僧」などと共に駆け足で訪れるのも仕方のないことかもしれませんが、できれば祖谷の集落に1~2泊して、のんびりゆったりと、素晴らしい空気と絶景を心行くまで堪能していただきたい気がします。「限界集落」と呼ばれ、人がどんどん減少している中、住まわれている方々にはきっと様々な苦労が色々とありながらも、やはりそこでは人々の日常の生活が日々営まれており、何百年も遡っていけば歴史の教科書や大河ドラマでしか見ることのない「源平の時代」へとつながっているかと思うと、そこはかとなくロマンが掻き立てられます。

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祖谷のかずら橋

Japan Web Magazine 編集部

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