奇岩連なる北の秘境「仏ヶ浦」

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車を降りたったそこには、目を見張るような光景が・・・といきたいところだが、道のりはまだまだ長い。駐車場から、さらに階段やでこぼこ道の連続する遊歩道(山道)を20分くらい下りねばならなかった。

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時々山道を登ってくる人とすれ違いながら、帰りは大変そうだと思いつつ、道を下っていく。途中に東屋があったり、木のベンチが設置されていたりする。木々の合間から見える海がキラキラと輝いて美しい。

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期待に胸を躍らせながら道を下っていくと、ようやく視界が開け、奇岩の連なりが見えてきた。海岸に下りるすぐ手前に洞窟があり、小さなお地蔵さんが三体。その先に簡素なお堂があった。「仏ヶ浦」はかつて「仏宇陀」とも呼ばれており、地元の人々は荒々しくも美しくて不思議なその景観に「浄土」のイメージを重ね合わせ、聖なる場所としてお参りしたという。「浄土」とは、仏教における概念で「清浄で清涼な世界」のことであり、一部の上流階級の人々を除き、今よりもはるかに暮らしがきつかった昔の人々は、まだ見ぬ「浄土」をこの奇岩連なる「仏ヶ浦」と重ね合わせ、安寧を祈ったのかもしれない。

今も、洞窟の中の三体のお地蔵さんは綺麗に装飾が施されて、供え物がしてあり、大切にされている様子が窺えた。洞窟の奥を覗きこもうとしゃがみこむと、おりしも木々の合間から漏れ来る光が洞窟の入り口に差し込み、ゆらゆらと揺れながら輝いた。そのささやかな出来事が、透明感を伴って抜けていく。小さくて優しい幸福感。

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遊歩道を抜けると、目の前に広がっているのが「極楽浜」と名付けられた場所だ。この周辺では珍しく砂浜が広がっている。右手に見えるのが「屏風岩」。左手には、「蓬莱山」と名付けられた岩峰が連なる。

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極楽浜

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頂部が鋭利な刃物のようにとがった屏風岩。下の方は波風に削られ、複雑な曲線を持った形状をしている。

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波打ち際に遊歩道が整備され、1991年(平成3年)に観光船の接岸を目的に建設された小さな桟橋まで続いている。右手奥にはお手洗いがある。

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桟橋までてくてく歩いて来たところに、観光船がやってきた。4月下旬から10月下旬まで佐井や牛滝から観光船が出ており、「仏ヶ浦」へ海からアクセスすることができる。気象条件などに左右されるリスクはあるものの、山道を歩かずに済むという大きなメリットがあるので、あまり歩きたくない方や、山道の苦手な方はこちらを選択するのもよいかもしれない。この日は結構海は時化ていたが、うねる波間をぬって、観光船はやってきた。

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青緑色をした海の水は透明度が高い。目を凝らすと泳ぐ魚や海底にいるウニなども見える。この海の色の美しさも、この「仏ヶ浦」を「浄土」と重ね合わせる理由の一つなのかもしれない。

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