岐阜の郷土料理
公開日: 2019年5月17日 | 最終更新日 2022年10月30日
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岐阜の食べ物・岐阜のご当地料理
本州のほぼ真ん中、日本で7番目に大きな岐阜県は周囲を陸に囲まれた海無県。人口は約2,065,300人。岐阜は大きく分けると、平野(濃尾平野)が広がり比較的低地の多い「美濃地方」と、3000メートル級の山々が連なる飛騨山脈を中心とした山がちな「飛騨地方」に分かれ、それぞれ気候も異なるため、同じ岐阜県内といえども、北と南ではその様相も食文化も多少異なるのが特徴的。美濃地方の多治見市では毎夏の最高気温がその年の国内最高を記録することもある一方、夏は比較的涼しい飛騨地方の荘川町では、冬の最低気温がマイナス20度以下と北海道並みの低い気温を記録する事もある程に寒いのだ。
それゆえ、自ずと食文化も異なってくる。例えば、朴葉を利用した朴葉味噌や朴葉寿司、五平餅、栗きんとんといった昔から作られ食されてきた郷土料理も、飛騨地方と美濃地方では、具材や作り方などが少しずつ異なってくるのだ。
地域によっては山が深く、雪も深いエリアにおいて、それぞれの地域の土地柄に根ざした食文化が各々独自性を持って発展し、またそれと同時に隣接する愛知や富山、三重、滋賀、福井、石川、そして長野から、街道を経由してじんわりと伝えられる影響を受けつつ与えつつ、親から子へ、子から孫へと伝統が受け継がれてきた事が、例えばそれらの隣接県にも少しずつ似たような食文化が存在することでわかる。
近くに海がないため、伝統的な食文化としては当然、海の魚介類を使った食文化こそあまり見当たらないが(勿論、現在では新鮮な魚介類を食べることができる)、内陸部ならではの素材を利用した印象的な郷土料理が目白押し。そんな魅惑の岐阜の食文化を、伝統的な郷土料理から、現代のラーメン、バーガーなどのご当地グルメまで、色々と取り混ぜて見てみよう。
岐阜の郷土料理 / 岐阜のグルメ / 岐阜の菓子
朴葉味噌(ほおば味噌)
朴葉味噌は、味噌を朴葉にのせ、ネギ等の薬味ときのこなどを混ぜて焼いて食べる飛騨高山の郷土料理。焼いているうちにほのかに移る朴の葉の香りと水分が飛んで旨みが凝縮し、かつ炙られて香ばしくなった味噌はご飯の最高のお供。勿論、酒のつまみにもピッタリだ。
さらに詳しく朴葉味噌(朴葉みそ)
けいちゃん
けいちゃん(鶏ちゃん)は、鳥肉(モツが入ることも)とキャベツや玉ねぎ、人参、もやしなどの野菜、キノコ類などを味噌ベースのタレで炒めたもの。飛騨地方南部の下呂市や高山市、中津川市北部、奥美濃地方の郡上市などで主に作られてきた家庭料理。現在は、県内各地の居酒屋などでも見かける岐阜の名物だ。スーパー等で、下味がつけられた製品も購入可能。赤味噌ベースの濃いめ甘めの味付けで、肉の旨みと野菜や味噌の甘味が合わさって、食欲増進、ご飯のおかわりが欲しくなる味だ。
朴葉寿司(ほおば寿司)
柿の葉などと同じく、殺菌作用がありカビなどを抑える効果のある朴の葉は、昔から食べ物をくるんだりするのに使われてきた。朴葉寿司もその一つ。岐阜の飛騨地方や東濃地方、中濃地方などで主に作られる郷土料理だ。朴葉と酢飯、具としては、切り身の鮭、川魚の甘露煮、しめ鯖、山菜、舞茸、きゃらぶき、刻み生姜、紅生姜、椎茸や筍の煮付け、田麩、キュウリ、漬け物のみじん切りなど、各家庭や地域によりバリエーションがある。
こんにゃくいなり
岐阜県産のこんにゃく芋を稲藁を焼いて取った灰汁を使い固めるという、昔ながらの製法で作ったコンニャクを使用して作られるこんにゃくいなり(こんにゃく稲荷)は、白川町の名物。油揚げのかわりに、味付けしたコンニャクを用い、少し固めに炊いたコシヒカリのご飯を詰めて、一つ一つ手作りで作る。甘辛い味付けのこんにゃくとあっさりめの酢飯がマッチ。
高山ラーメン
飛騨高山のご当地ラーメンが鶏がらをベースにした優しい味わいの「高山ラーメン(飛騨ラーメン)」。岐阜県高山市内の約三十ほどの店舗で提供されている高山の名物ラーメンだ。極細のちぢれ麺に、旨味がありながらもすっきりとした味わいのスープが絡み、するすると食べられてしまう。昭和の初めごろから提供されているともいわれるこのラーメン。高山を訪れたら忘れずに食べたい一杯だ。
五平餅
五平餅は半殺し(半分程度つぶつぶが残る位)にしたご飯をわらじ型や団子型、きりたんぽ型などに整形して串に刺し、味噌や醤油、クルミ(またはエゴマ)などが入ったタレを塗って炭火などで炙ったもの。香ばしくて甘い郷土のおやつだ。古くから美濃や周辺地域の一般の家庭で作られ、食べられてきた。(五平餅は、岐阜県外でも長野県の木曽・伊那地方や愛知県の奥三河にかけても食べられている。)現在は、土産物店や食事処、宿などでも提供される。ハチの子をすりつぶしたものを加えた味噌だれを使った「ヘボ五平餅」というものも。
菊芋の粕漬け
菊芋を酒粕と砂糖、塩などで漬けたもの。独特の香りとシャッキリとした歯ごたえを持つ。
飛騨牛
飛騨の豊かな自然の中で育てられる飛騨牛は、溢れる旨味と繊細で肌理こまやかな肉質を持つことで知られる飛騨のブランド牛。澄んだ空気や清純な水、夏と冬の温度差や昼と夜の温度差、飼育に携わる人々の細かな配慮と技術など、様々な要因が合わさることによって生み出される素晴らしい味わいを持った牛肉だ。高山市内や近隣の飲食店などで様々なスタイルで頂けるほか、旅館やホテルなどで夕食として提供されることも多い。飛騨地方に足を運んだら、是非とも味わいたい味覚の一つだ。
飛騨高山バーガー
飛騨牛を手軽に味わえる絶品グルメがこの飛騨高山バーガー。今や世界中から沢山の観光客が訪れる高山において、海外からの観光客の舌も魅了しているといわれる、高山の名物グルメだ。ブランド牛である飛騨牛を惜しげもなく用いた「飛騨牛バーガー」は、薫り高い肉の旨味がほとばしるジューシーなパテと、香ばしいバンズ、新鮮なレタスとトマトの組み合わせで、食べるものを唸らせる。普段、ハンバーガーにあまり興味がない人にも是非一度味わってみて頂きたい高山の絶品グルメだ。
栗きんとん
主に、中山道の馬籠宿周辺~中津川エリア、いわゆる恵那地方一帯、及び八百津町、瑞浪市、土岐市、多治見市、可児市、御嵩町、美濃加茂市などで作られる栗きんとんは、知る人ぞ知る絶品栗きんとん。栗きんとんと言っても、正月に食べられる一般的な栗きんとん、栗とサツマイモ、水飴などで作られる黄色がかったねっとりとしたタイプではなく、栗と砂糖のみで作られた、上品な甘みで栗の味がしっかりと感じられる極上のスイーツだ。栗きんとんの季節は、栗の採れる9月頃から冬にかけて。この地方で採れる上質な恵那栗を蒸し、実を取り出したあと、砂糖のみを加え、水は加えずにじっくりと炊き上げる。こうすることで、素朴ながらも品のある「美しい」甘味が引き出される。最後に茶巾で絞って完成。本物の旬の味覚を感じられる、ある種究極のお菓子だ。
イナゴの佃煮
長野、群馬、栃木や山形、福島、静岡の山間部など、近隣に海がない他の地域と同様、岐阜でも古くから貴重なタンパク源として食べられてきたイナゴ。主に、醤油と酒、みりんなどで濃いめの味付けをして佃煮として食べられる。
漬物ステーキ
漬物ステーキは、飛騨高山地方の郷土料理。山深く、冬には雪が降りとても寒いこの地方では、凍ってしまった漬物を朴葉などに乗せて囲炉裏で炒めて食べる習慣があった。冬場の貴重な食料、野菜類として欠かせない漬物、時には発酵が進んで酸味が強くなったものでも美味しく食べるための知恵だ。炒められ、味噌や醤油で味付けされた漬物は、通常の漬物とはひと味もふた味も違うもの。香ばしさと甘みが増して、食が進む。各家庭ごとに味付けや炒め具合、最後に卵でとじる等、それぞれ色々なレシピがあるという。宿や居酒屋などで名物料理として出すところもある。
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へぼめし(ヘボめし・ヘボ飯・へぼご飯・ヘボご飯)
地元の言葉でヘボ(へぼ)と呼ばれる地蜂の子を一緒に炊き込んで作る炊き込みご飯。恵那市・中津川市など(東濃地方)で昔から食べられてきた郷土料理。地蜂(クロスズメバチの巣から取れる幼虫と成虫)を乾煎りしたものを、醤油、酒、みりんなどで煮た「ヘボの佃煮」をご飯に混ぜこんでつくる。かつては、来客時やハレの日などのご馳走として作られたもの。コクのある幼虫の味とパリッとした成虫の食感はヘボ飯ならではのもので、「お袋の味」と呼ぶ地元の人もいる。愛知県の三河地方などでも同じ様なヘボ飯を食べる習慣があり、また「はえはちめし」と呼び名は変わるが静岡県などにも同様の料理がある。
赤カブの漬物
飛騨地方の伝統的な漬物の一つ、それが「赤かぶ漬」。この地方の伝統野菜である「飛騨赤かぶ」を収穫後、ぐっと寒くなる11月下旬~12月の時期に漬けこんだもので、じっくりと時間をかけて漬けこむことによる乳酸発酵由来の柔らかな酸味と深い味わいが特徴のお漬物。添加物はいれずに、塩でもって丁寧に漬け込んだことで生まれる自然な色と味わいは、飛騨の伝統的な食文化の豊かさを感じさせてくれる。
飛騨ブラックらーめん
ブラックラーメンといえば富山のものが有名だが、飛騨地方にもブラックらーめんがある。富山のものに比較して塩辛さが若干抑え気味なのが特徴。
岐阜の郷土菓子 岐阜のお菓子
からすみ
「からすみ」と聞けば、食通や酒飲みの方々は一も二もなく、ボラの卵を漬けこんだ珍味を思い出すだろう。ねっとりとした旨味とコクが堪らない絶品グルメ・・・。しかし、岐阜県の東濃地方では「からすみ」といえば、伝統的な郷土菓子である、米粉で作られる「からすみ」のこと。実は、その名の発祥はボラの卵で作られる「カラスミ」と同じであるともいわれ、ボラの卵の「カラスミ」の名が、「唐(昔の中国)の墨」の形に似ていたから、ということに由来するといわれるのと同様に、こちらのお菓子のからすみも「唐墨」に似ていたから名付けられたといわれる。(別の説では、海の無い岐阜では中々入手の困難であった「カラスミ」の代わりに、姿かたちを似せた菓子の「からすみ」が作られたのだという。)といえ、現在、岐阜でよく見かける「からすみ」は、写真のような切り口が「富士山」のような形をしてるタイプも少なくない。その味わいは「ういろう」にも似て、もっちりとしていながらもしつこくなく、素朴な甘さと味わいの菓子。岐阜の東濃地方のほか、愛知県の奥三河地方や、長野県の南木曽町、大桑村、下伊那郡根羽村などでも食べられている伝統的な郷土菓子だ。
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豆板(まめ板)
香ばしい炒り立てのピーナッツをべっこう飴で固めた飛騨高山の伝統的な菓子。がっちりと固そうな見た目だが実際は意外にサックリと食べやすく、香ばしさと甘さのバランスがいいお菓子だ。
てっぽう焼
てっぽう焼きは細長い形をした大福。もっちりとした食感と丁度いい甘さの餡、ほのかに感じられる塩味と香ばしさ。細長い形も食べやすい。