雪道のドライブ 雪国の道路で見かけるもの
公開日: 2024年2月28日 | 最終更新日 2024年10月27日
雪国の道路に欠かせないもの
雪国に住んでいる人や雪国をよく車で走る方なら当然のように知っていて、雪国にあまり縁のない方なら知らないことの一つに、雪国特有の「道路標識」があります。その形や目的はいくつかあるのですが、中でもよく見かけるもので、それがないと場合によっては命にかかわるほどに大切なもの、雪が沢山降っている時や降り積もっている場所には特に欠かせない「道路標識」が、通称「矢羽根」と呼ばれる、道路の端辺りに設置されている下向きになった赤と白の縞々の「矢印」です。
雪の北海道の道路と「矢羽根」
そう、この「矢羽根」、正式名称を「固定式視線誘導柱」(鋼製大型視線誘導標)というのですが、雪のない暖かな季節に生まれて初めて雪国にやってきた人ならば、道路脇に等間隔でいくつも並んでいるこの下向きの矢印を目にして、「これは何の意味があるのだろう?」とその存在を少し不思議に思うかもしれません。「なぜ、道路に等間隔でこれほど多くの矢印が並んでいるのだろう?」と。
しかし、この「矢羽根」、雪のない季節には大雨や夜間くらいしかあまり意味を持ちませんが冬になって雪が降ると本領を発揮するのです。雪国に冬が到来し、雪が沢山降った時に改めて雪国の道を運転すると、その設置目的は一目瞭然。道路に雪が沢山降り積もった時、吹雪いて(ふぶいて)ホワイトアウトとなり視界不良の時、身をもってその存在のありがたみを感じ、実際にその恩恵を享受するのです。
そう、この下向きの矢印「矢羽根」は、雪国において降雪時、および積雪時にもわかりやすく「道路の端」「道路の幅」「境目」をドライバーに視覚的に伝えるためのものなのです。要は道路の端の部分を空中から「ここだよっ!」と指示して教えてくれているという訳。
雪が降らない地域では昼間であればゲリラ豪雨や台風級の風雨、または濃霧の時でもないと「視界不良」なんて中々ないシチュエーションですが、雪国ではある程度のまとまった雪が降り始めると視界が一気に悪くなります。なおかつ除雪車が除雪した後や、日々の雪の積み重ね、もしくは短時間に一気に雪が降り積もることによって、道路と路肩部分の境目が見えなかったり隠されたりして、走行するべき道と端の部分の境界がどこかわからなくなってしまう時もあります。
北海道は気温が低く雪がサラサラなことが多いので、青空が見えている時でも強い風が吹いたり大型車が通り過ぎたりすると一瞬で視界が悪くなる時もあります
激しい雪が降る中、雪道にある「矢羽根」はドライバーに安心感を与えてくれます
そういった時にこの「矢羽根」=「固定式視線誘導柱」が、ドライバーに少しでもわかりやすく道路の幅を伝えてくれるという訳です。
ちなみにこの「矢羽根」、そこそこ高い位置に設置されているので気が付きにくいですが実際にはかなりの大きさがあり、その長さは1メートル以上とか(120センチメートル)。通常は80メートル間隔で道路に設置されているのだそうです。かつては冬に設置され、冬が終わると撤去される簡易的なものが用いられていたそうですが1980年代以降、現在のような固定のものとなりました。それまでは「スノーポール」とよばれる赤と白の道路標識柱・視線誘導標(現在でも道路脇や高速道路の対面通行区間などでも見かけるタイプのポール)が道路わきに設置され除雪の目印にもなっていましたが、除雪車の性能が上がり速度も上がったことで損傷が増え、固定式の視線誘導柱(矢羽根)が導入されるようになったのだといいます。
色も赤と白が多いですがそれ以外に他の配色もあり、またLEDが設置されていて夜でもわかりやすく教えてくれるものもあります。特に、国道でも街灯が設置されているとは限らない北海道では、冬の夜間には大変ありがたい存在なのです。
赤と白のしましま以外にも黄色と緑のものなどもあります
次に雪道を走る際、または雪国に出かけてくるまでドライブする際にはぜひ気にかけてみてくださいね。