天下茶屋
公開日: 2013年5月15日 | 最終更新日 2023年5月20日
太宰治ゆかりの場所
創業は昭和9年。新御坂トンネルが完成して現在は旧道となった県道708号線(旧137号線)沿いにある。河口湖と富士山を一望のもとに出来る絶景で知られ、古くから「富士見三景」の一つに数えられてきたところだ。その景観の素晴らしさから「富士見茶屋」「天下一茶屋」などと呼ばれたが、徳富蘇峰が新聞に「天下茶屋」として紹介して以来、天下茶屋として知られるようになった。
昭和13年9月、井伏鱒二に連れられてきた太宰治がここに滞在し、その体験を小説「富嶽百景」に書き残している。太宰自身は、この茶屋からの富士山を「あまりに、おあつらひむきの富士」として初めはそれほど好かなかったようだが、三ヶ月ほど滞在、執筆を進めた。現在は、宿泊は出来ないが、井伏鱒二や太宰治も愛したという「ほうとう」や、「そば」「いもだんご」等が頂けるほか、みやげ物なども買うことができる。
御坂峠は甲府から東海道に抜ける鎌倉往還の要衝であり、かつては多くの旅人が行き交った。しかし、昭和42年に新御坂トンネルが完成し、それ以降交通量は減少、天下茶屋も10年の休業を余儀なくされる。昭和53年より2代目が営業を再開、2009年には創業75年周年を迎えている。
太宰治文学記念室
かつて太宰治が逗留していた部屋が、天下茶屋の二階、富士山と河口湖を一望できる6畳間に復元されており、太宰が使用した机や火鉢などが置かれている。床柱は、初代の天下茶屋のものがそのまま使用されているとか。「富獄百景」「斜陽」「人間失格」などの初版本や「太宰治」「斜陽館」などのパネル、「太宰治文学碑建設趣意書」「のれん」などが展示されている。
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天下茶屋(てんかちゃや) DATA
- 場所: 山梨県南都留郡富士河口湖町河口2739 天下茶屋
- 交通(公共交通機関で): 富士急行線「河口湖駅」から富士急バス「天下茶屋行き」路線バス にて所要約30分、終点下車。(バスは午前中に数本のみ。冬季休業。)
- 交通(車で): 中央自動車道河口湖ICから国道137号線~河口湖大橋を経由一宮御坂方面へ約15分。「峠の茶屋」を通過後、新御坂トンネルすぐ手前を右折、旧137号線を直進約15分。
- 駐車場: あり(乗用車10台)
- 期間: 通年
- 時間: 9時~日没
- 休み: 年中無休(冬季は天候により休業あり)
- 料金: 太宰治文学記念室は天下茶屋の利用客は無料で見学可能。
- 問い合わせ: 0555-76-6659
天下茶屋