富岳風穴 青木ケ原樹海にある異世界へ
公開日: 2015年2月6日 | 最終更新日 2022年11月9日
富士山の噴火の痕跡を今に示す「富岳風穴」は、鬱蒼と緑の生い茂る青木ケ原樹海にある、総延長201メートル、高さは天井が最も高い所で8.7メートルにもおよぶ溶岩洞穴です。
国の天然記念物にも指定されているこの風穴は、すぐ近くにある「鳴沢氷穴」と並ぶ富士山周辺の人気訪問スポット。夏場だけではなく、冬場でも比較的気軽に訪れることができるのも魅力で、荒々しくも迫力ある地球の内部をプチ体感できるのです。そんな富岳風穴に行ってみましょう。
富岳風穴はどこにあるの?
「富岳風穴」は、「富士パノラマライン」とも呼ばれる国道139号線から少し入った場所にあります。中央自動車道河口湖ICからなら、約20分。東名高速御殿場ICからなら、東富士五湖有料道路経由で約45分ほどで着きます。公共交通機関を利用する場合は、河口湖駅から路線バスを利用すると約30分ほどで到着。(風穴または氷穴バス停下車)。
駐車場やバス停からは、徒歩で風穴の入り口へ。樹海の木々の中の道(「東海自然歩道」の樹海コース)を歩いてアクセスとなります。
富岳風穴は、富士山周辺に数多くある「風穴」の一つ。風穴とは、富士山が噴火した際に流れ出た溶岩が冷えて固まる際に出来上がったといわれもので、流出した溶岩の外側がさめて収縮する際、内部はまだ高熱の流動体であるために、溶岩に含まれるガス体が圧力差によって表面の弱い所を押し破って外に吹き出し、空洞ができ、これが冷えて固まったのが風穴になるのです。
風穴の壁の玄武岩質が音を吸収する性質をもっているため、内部は不思議に感じられるほどに「音」が反響しないのも特徴。また、風穴内の平均気温は約3度で、夏でもひんやりとしており、風穴の奥部ではかつて冷蔵施設のなかった時代に、蚕の卵や種などを貯蔵していたのだそう。
風穴内部では、溶岩棚や樹型溶岩、蛇岩、溶岩池、氷柱、氷筍などと共に、蚕の卵や種を貯蔵していたこの「天然冷蔵庫」も、当時の雰囲気もそのままに見ることができます。
富岳風穴入り口と、「東海自然歩道」。この「東海自然歩道」の樹海コースは風穴の先へも通じており、鳴沢氷穴まで歩いていくことができます。(徒歩約20分。)
階段を下りて風穴の入り口へ。
冬は滑りやすいので、足元に注意。
風穴の入り口が、まさに「口」をあけているように見える。地球の内部に吸い込まれていくような感じです。
風穴の入り口から少し入ったところで後ろを振り返る。ぽっかりと穴が開いたそこは地上と地下の境目。わずか数メートルで世界は一変します。
内部は、数メートルおきに設置された照明の為明るく、また足元も整備されていてとても歩きやすいです。とはいえ、凍っていたりする場所もあるので、ヒールや滑りやすい靴は危険なので気を付けて。風穴内を進むとやがて、切り出した氷の壁が現れます。
氷の透明感が美しい。所々、照明の光を反射してきらきらと煌めく。
これらの氷は、昭和初期まで夏場に関東一円に出荷され、大変重宝がられたといいます。削られて「かき氷」として食べられたり、物を冷やすのに使われたのでしょうか。富士山の天然氷のかき氷はさぞ美味しかったことでしょう。現在のものは、冬場に切りだして積み上げ、観賞用として手を入れられているそうです。
天井から滴る水が少しずつ凍りながら積み重なってできる氷筍。
風穴内を奥へ進んでいくと、樹型溶岩とよばれるものが出てきます。これは、溶岩に飲み込まれた木々が、溶岩の中で燃えてしまい、その空間を残したまま溶岩が冷え固まって出来上がる複雑な形をした空洞。世界遺産にもなった船津や吉田の胎内樹型と同様のものです。
この貯蔵庫は、昭和30年代まで使われていたもので、蚕の場合、長野、埼玉、群馬などで飼育された蚕の繭玉の内生育良好なものをこの風穴に集め、成虫になってしまわないように生きている繭玉を冷暗貯蔵し、夏繭、秋繭として出荷していたといいます。
イラストのように、杉やアカマツ、もみのほかヒノキ、カラマツ、楢など、様々な木の種を缶に密封し冷暗貯蔵していたそうです。種の一つ一つの発芽率がよく、種の生命を長く維持する目的で一定期間保存されていたそう。
ここで、保管された種は毎年春に全国に出荷され、各地で苗を育てて2~3年後に植樹し、山々の緑化に役立てられていたといいます。
富岳風穴まとめ
富士山の噴火により作り上げられた自然の神秘「富岳風穴」は青木ケ原樹海にある溶岩風穴。自然の力のすごさ、迫力を体験できるスポットで、美しい富士山とはまた一味違った富士山の魅力に触れることができる場所です。一人はもちろん、恋人同士や夫婦、家族、友人同士で行くのがおすすめ。特に真夏に小学生の子供を連れて行ってあげると、外との気温の差や自然の力強さを身をもって体験できるので面白いかもしれません。
内部の起伏は少なく、足元もある程度整備されていますが、入り口が急な階段になっていることもあり、歩きやすい靴がおすすめです。見学所要時間は約15分~20分ほど。
服装
年間の平均気温が約3度と涼しく、(冬は厚着をしている人が多いから大丈夫だとして)、夏でも「涼しい」を通り越して「寒い」ので、上着は必須。Tシャツ一枚やノースリーブの服などでは寒すぎて、入ってすぐ出てくる羽目になってしまうので注意。
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富岳風穴(ふがくふうけつ) DATA
- 場所: 山梨県南都留郡富士河口湖町西湖青木ヶ原2068-1
- 交通(公共交通機関で): 河口湖駅から路線バス利用で約30分。 (風穴または氷穴バス停下車)
- 交通(車で): 中央自動車道河口湖ICより20分。東名高速御殿場ICから東富士五湖有料道路経由で45分。
- 駐車場: あり
- 期間: 通年
- 時間: 9~16:30(季節変動あり・終了時間の15分前までに入場)
- 休み: 無休(12~3月は不定休)
- 料金: 大人350円 小人200円
- 問い合わせ: 0555-85-2300
- HP: 富岳風穴