新潟の郷土料理 新潟の食べ物
公開日: 2008年2月11日 | 最終更新日 2019年4月13日
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美食の国 越後
巨大な油揚げ?海藻がつなぎに入ったそば?練って作られる羊羹のような食べ物?米どころ、酒どころとして全国に名を馳せる新潟は、豊富な海の幸、山の幸にも恵まれた全国的にも有数なグルメな場所だ。江戸時代から、現代に至るまで、新潟(越後国)を食のナンバーワンとするグルマンも少なくない。新鮮な素材のみならず、生産者や調理人の高い技術も新潟の食べ物のレベルを高いものにしている理由という。例えば、一説には新潟の水は酒造りにはそれほど向かないが、杜氏の高い技術が新潟の酒をこれほどまでに素晴らしいものにしていると。そんな食の国、新潟県の食べ物を紹介しよう。
へぎそば
へぎそばで有名な新潟県小千谷市は織物の町としても有名だ。古くから生産されてきたこの小千谷縮と呼ばれる織物は、糸の糊付けの際に布海苔を使うのだが、この布海苔をつなぎとして作られるのが、へぎそばだ。その美しい盛り方も、織物文化から来ているといえよう。薄緑色に輝くそばは喉越しもよく、するりと食道を通り抜けてゆく。
のっぺ
県内で「新潟の郷土料理は?」と訪ねると多くの人がその名を挙げる「のっぺ」。里芋のぬめりを生かしながら、鶏肉、ごぼう、ニンジン、サヤエンドウ、油揚げ、きのこ、貝柱などと煮込み、上にいくらなどをあしらった新潟の郷土料理だ。元は冠婚葬祭の時に食べる料理であったが、家庭料理として日常的に食べる家も多い。レシピも材料も各家庭によって異なる。鶏肉を使う地域、鮭を使う地域などなど。まさに新潟のお袋の味ともいえる品だ。
のっぺの作り方
- 材料: 里芋、サケ、ニンジン、タケノコ、カマボコ、レンコン、コンニャク、サヤエンドウ、干し椎茸、出汁(昆布、鰹節、煮干など)
- 1. 干し椎茸は水に戻して短冊切りに。サヤエンドウも細切りにする。そのほかの材料は一口大に切る。こんにゃくは手で千切ると味がしみやすい。
- 2. レンコン、たけのこ、こんにゃくは湯通ししてアクを抜く。
- 3. 干し椎茸の戻し汁と、出汁をあわせ、材料を煮ていく。硬いものから先に。
- 4. 塩、ミリン、酒を入れ、味を見ながら醤油を入れる。
- 5. 泡立ってきたら、里芋、サケ、ギンナンを続けて入れ吹きこぼれないように強火で炊く。
- 6. 最後にカマボコを加え、火を止めてお椀に盛る。いくら、塩茹でしたサヤエンドウを上に乗せて完成。
いごねり
日本海で獲れる希少な海藻「いご草」を使って作られるのが「いごねり(いご練り)」。まるで艶やかな羊羹のような見た目。ぷるんとした歯ざわり。酢味噌で食べるのが最高だ。天日に干して乾燥させ、ゴミを取り、選別し、微妙な火加減で文字通り練る様にして水加減を調整しながら煮ていく。とろみの加減や水の量が難しいという。火が通ったら、薄く延ばして冷やし固めて完成。手間隙掛けて作られる海の香り豊かな逸品。
佐渡の岩もずく
もずくは沖縄のものが有名だが、新潟県の佐渡産のものも負けてはいない。日本海の冷たい水と荒波にもまれた岩もずくは、歯ごたえもしゃっきり、磯の香り高く、いくらでも食べれてしまう。ミネラルやカルシウムも豊富で身体にもいいという海の贈り物だ。
栃尾揚げ
目の前に運ばれてきた瞬間に思わず、「ふふふ」と笑みがこぼれてしまうくらい大きな油揚げが栃尾揚げだ。見た目だけで人を笑顔にさせるこの揚げ物は、厚揚げをさらに大きくしたようなその見た目のインパクトもさることながら、ふわっと柔らかく淡白な中にも味わいのある食感、油と豆の香りが口に広がって、想像を超える美味しさ。薬味を乗せて醤油を掛けて口いっぱいに頬張る、これぞ栃尾の油揚げ。
笹団子
緑鮮やかな笹に包まれた団子が、新潟名物笹団子。スゲや井草の紐を解いて、笹をむくと中から現れるのは笹の葉の筋が綺麗に入ったヨモギ餅。殺菌効果のあるといわれる笹でくるむことに寄って保存性を高め、なおかつ笹のいい香りが餅に移ってなんともいえない独特の草団子となる。中の餡の甘さとヨモギの風味と笹の香りとが一体となって、口の中に広がっていく。新潟地方のふるさとの和菓子だ。
酒びたし
酒にひたすから「酒びたし」。鮭を酒にひたすなど、洒落のような贅沢のような話だが、これがまたすこぶる旨い。一口噛めば口の中にジワリと広がる深い味わい。日本海から吹く風に吹かれて水分を飛ばされ、旨み成分がぎゅっと凝縮した干し鮭。鮭本来の旨みに加え、発酵が行われることに寄って、より深くてまろやかな旨みが充満している。そのままでも食べられるのだが、酒を振りかけることによって、より風味が増す。酒飲みには堪らない味だ。
メダカの佃煮
近年は見かける機会も随分と減ってしまったが、かつてはどこの田圃にもいたメダカ。食べるのには少々小さいその魚体サイズゆえか一般的にはあまり食用にされる事もないが、新潟県の中部地域では通称「うるめ」と呼ばれ冬場の稀少な蛋白源として食用にされてきた。独特の苦味と旨みがあって、春の味として親しまれていた。今や東蒲原郡阿賀町や見附市などごく一部地域に残るのみだが、かつては佃煮の他、味噌汁などにも入れて食していたという。ほろほろとしていてほどよい苦さはお酒にぴったり。
イタリアン
1959年、新潟県新潟市にある甘味喫茶「みかづき」のオーナーが上京した際に、東京京橋の甘味処で食べたソース焼きそばにインスピレーションを得て作り出したといわれる「イタリアン」は、その名の通り、イタリアンなテイスト溢れる焼きそばだ。イタリアンと焼きそばがどうにも結びつかない、トマト味の焼きそばなんてあまり美味しくなさそう、などと思われた方は是非一度食べてみてほしい。絶妙な甘味とソースの味がまろやかなトマトの風味をまとって、普通の焼きそばとも、イタリアンなパスタとも違う、なんともいえぬ後引く美味しさを醸し出しているのだ。新潟っ子のソウルフードともいえる「イタリアン」を外して新潟グルメは語れない。
南蛮エビ
一般的には甘エビの名前で知られるホッコクアカエビは島根県以北の日本海、オホーツク海、宮城沖などに棲息するエビ。居酒屋などでもよく見かけるぷりっとして甘い身を持つこのエビ、お好きな方も多いだろう。新潟ではその鮮やかな赤みを帯びた色と形がどことなく唐辛子(南蛮)に似ていることから南蛮えびと呼ばれる。佐渡市、新潟市、糸魚川市などが主な水揚げ地。産地ならではの、新鮮でとろけるような身は、刺身以外でも寿司、から揚げ、炙り、塩焼き、酒蒸し、お吸い物等で食べられるが、それでもやっぱり刺身が一番。手がちょっとばかり汚れるのを厭わずに、是非カラを剥きながら食べたい。
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新潟郷土料理の食べられる店
「葱ぼうず」 DATA
- ジャンル:海鮮・郷土料理
- 場所: 新潟県新潟市中央区笹口1-10-1
- 交通:新潟駅南口降りてすぐ。徒歩30秒
- 営業時間:17:00~24:00 夜10時以降入店可、日曜営業
- 駐車場: 無
- 営業期間: 通年
- 休業日:無休
- 料金:ノドグロの塩焼 980~1280円・佐渡沖お造り盛合せ1~2人前 1,240円・佐渡 岩もずく酢 460円・のっぺ 580円
- クレジットカード: VISA、MASTER、JCB
- 問い合わせ: 025-240-6363
- データはいずれも取材当時の情報です。
葱ぼうず
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