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鹿児島の郷土料理

鹿児島

鹿児島の食材と聞いて、何を思い浮かべるだろう。多くの人が思いつくであろうものが、「サツマイモ」ではないだろうか。鹿児島地域の旧名であり、現在も鹿児島を表す言葉「サツマ」をその名前に冠した「サツマイモ」は江戸時代に東南アジアを経て日本にもたらされたものだ。水はけの良い土地を好むこの芋は、火山灰を多く含む土壌であった薩摩で栽培されるようになり、1732年(享保17年)の享保の大飢饉の際、西日本地域が大凶作に見舞われ深刻な食糧難に陥る中、その真価を発揮したという。現在でも、食用として、また焼酎の原料やでんぷんの原料としてさかんに生産され、その生産高は全国の4割を占める。そんな鹿児島には当然、サツマイモを使った郷土料理は沢山あるが、薩摩の郷土料理の魅力はそれだけではない。新鮮な海の幸、山の幸。滋味溢れる食材、大切に育てられた野菜、肉類を使用した、歴史に裏打ちされた豊かな食文化があるのだ。魅力的な鹿児島の郷土料理、ご当地料理の一部をみてみよう。

きびなごの刺身

きびなご(黍女子・キビナゴ)は地域によってキミイワシ、ハマイワシ、ハマゴ、ハマゴイ(静岡)、キミナゴ(三重)、キビナ、スルルなどとも呼ばれるニシン目ニシン科の魚。体長5~10cmほどの小魚だ。(「いかなご」はスズキ目イカナゴ科で別の種)。

きびなごの刺身

鹿児島でお刺身といったらカツオかこれ!というくらいメジャーなきびなごの刺身。開いたものを酢味噌やしょうが醤油で食べる。新鮮なものは光物(ひかりもの)特有の生臭みもなく、こりこりとして甘味がある。きらきらと光る青銀の魚肌が美しい。鹿児島では刺身のほか、天ぷら、串にさしての塩焼き、煮付け、干物、タタキ膾(なます)などにする他、味噌汁に入れることもある。旬は初夏と初冬~春先にかけて。5月~6月頃の産卵期の子持ちキビナゴは塩焼きや天ぷらに。11月~12月の寒の入りの時期は骨もやわらかく、刺身に。しゃぶしゃぶやから揚げもグッド。1月~3月までの産卵に向けて脂ののったきびなごは塩焼き、煮つけ、天ぷら、唐揚げがおすすめだ。

ガネ(がねの天ぷら・がね天)

サツマイモの千切りを揚げたもの。「がね」というのは鹿児島弁で蟹の事。揚がったその姿が蟹に似ていることから、この名がついたと言う。サツマイモの他ニンジンなどの根菜類も千切りにして入れたりもする。

ガネ

ガネの作り方

1. サツマイモを千切りにし、水にさらした後、ざるにあげて軽く水を切る。(太さは家庭によって太かったり細かったりそれぞれ好みがある。)

2. ボールに小麦粉、玉子、砂糖を混ぜて衣を作る。さくっと軽く混ぜる。そこに千切りにしたサツマイモを入れ、醤油で味をつける。お好みで生姜で風味付け。

3. 手を使ってうまく形にまとめ、たっぷりの油で揚げる。色よく揚がったら、そのまま、または塩や醤油をつけて。

鶏の刺身

薩摩地鶏は日本三大地鶏の一つにも数えられる名地鶏。豊かな自然環境の中で育った地鶏は、全身に旨みを蓄えている。

鶏の刺身

鹿児島以外にも鶏を刺身で食べる所はあるが、鹿児島の地鶏の刺身は一味もふた味も違う。コクがあり、甘味があってとろけるのだ。生姜醤油、にんにく醤油などで葱やたまねぎなどの薬味と共に、頬張って、薩摩焼酎をぐいっとやれば、愉しい夜になること間違いない。

きーこん

その薩摩の地鶏を使った煮物が「キーコン」。ニンジンや大根、えんどう豆などと共に煮込んで黒砂糖、醤油などで味をつける。鶏も野菜もよく煮込まれ、箸をつけるだけでほろっと崩れる柔らかさ。

きーこん

つけ揚げ(薩摩揚げ・天ぷら・はんぺん)

ご存知薩摩地方の名産品。魚肉をすり身にし、塩、砂糖、醤油などで味付けをして油で揚げたもの。冷めても美味しいが、やはり揚げたてのアツアツは堪らない。そのままで生姜醤油で食べるほか、さらに炭火で焼いたりもする。醤油、酒、砂糖などで味付けをして甘辛く煮ても美味しい。

つけ揚げ

目にも鮮やかな緑色。豆の入ったつけ揚げ。

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