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鳥海山

鳥海山の山腹から見る風景

失われた景勝地

国道七号線、通称「羽州浜街道」と呼ばれる日本海海岸線に沿って南北に伸びる道を走っていると山形県酒田市と秋田県由利本庄市のちょうど真ん中辺りに「象潟」と呼ばれる場所があります。読み方は「きさかた」。ここはかつて松の木々美しく、数多くの小島が浮かぶ風光明媚な場所でした。江戸時代には「松島」と並び称されるほどの景勝地で、かの松尾芭蕉も訪れて歌を詠んでいるのです。

象潟や雨に西施がねぶの花  芭蕉

「九十九島」とも呼ばれた数々の小島が一夜にして消えてしまったのは、文化元年六月四日(1804年7月10日)のこと。マグニチュード7.0とも言われる大地震にみまわれた結果でした。地震により、南北25キロメートルに渡って地面が最大で1.8メートル隆起、小島が浮かぶ美しい湾は陸地となってしまったのです。当時の人々の驚きはいかばかりであったでしょうか。

失われた景勝地「象潟」はその後田んぼとなり、一帯には現在、美しい田園風景が広がっています。田に水が張られる頃に訪れると、水田のそこかしこに元小島であった小山が点在し、それはさながら海に浮かぶ小島のようで、往年の多島海を髣髴とさせるような景観を見ることが出来るのです。

東北の名峰

その象潟の水田に小山と共に移りこむ、一際印象的な姿を誇る山、それが「鳥海山」です。標高2,236メートルの活火山で、福島県にある標高2,356メートルの燧ケ岳に次ぐ東北地方第二の標高を誇る山であり、日本百名山の一つにも選ばれている山です。山頂から海岸線までの距離がわずか15キロメートルと海に近く、海から山頂にかけて、海岸、平地、湿原、高原、山岳地帯と、僅かな距離でドラマチックな変化を見せるのも特徴。海の上からもそれと判る姿は、船乗りの目印にもされて来たといいます。

鳥海山

秋田、山形両県に跨って聳える「鳥海山」は、その美しく優れた山容から「出羽富士」(秋田県側では「秋田富士」とも)と呼ばれて地元の人々に親しまれてきました。また古くから霊峰として崇敬を受けてきた山でもあり、山全体が「ご神体」と形容されます。長い裾野を持つこの独立峰は、東北各所の名だたる山からも、その姿を見ることが出来る名峰なのです。

麓から見た鳥海山と鳥海山から見た景観をフルスクリーンで見る

鳥海山

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鳥海山鳥海山の山腹から見る風景

鳥海山

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