釜山神社 狼の「狛犬」
岡山県の木野山神社、京都府の大川神社、山梨県の金桜神社、兵庫県の山野口神社、福島県の山津見神社、東京都の御岳神社など、狼を祀っている神社は東北地方から関西地方にかけて数多くあるが、古くから狼信仰が根付いている埼玉県秩父地方一帯にも、三峰神社を筆頭に狼を祀る神社が数十社ほど点在している。
中山道熊谷宿(埼玉県熊谷市)と甲州を結ぶ秩父往還道の釜伏峠に鎮座する釜山神社もその一つ。写真の左右、神社参道入り口の両側に立つ「狛犬」が狼であるのがわかるだろうか。
今日では絶滅してしまったといわれるニホンオオカミだが、かつてここ秩父一帯にも数多く生息しており、田畑を荒らすイノシシやシカなどを退けてくれる存在として神格化され、「大口真神」として、また山の神の使い・化身、御眷属(ごけんぞく)として人々に篤く信仰されてきたという。
この釜山神社には三峰神社に次ぐ6組12体の奉納されたニホンオオカミの像(狛犬)があり、その数からもいかに地元の人々に大切にされているかをうかがい知ることができよう。
五穀豊穣、火除け、災難除けなどに御利益があるといい、毎年春になると新しい狼のお札が近隣住民に配られる。