雪の真山神社 「ナマハゲ」ゆかりの男鹿半島の神社
公開日: 2024年2月20日 | 最終更新日 2024年2月20日
雪の中の真山神社
時折視界が遮られるほどの激しい雪が降っていた2月の或る日、途中の食事休憩を挟みながら秋田空港から1時間40分ほど走ると、ようやく鳥居が見えてきました。
目指す「真山神社」の入口です。周囲を木々に囲まれた山の中、とても清らかで楚々とした佇まいでそこにありました。
駐車場に車を止め、雪の上に降り立った時にはついさっきまであれほど激しく降っていた雪もやみ、人っ子一人いない辺りはしんと静まり返っています。
その静謐で透明な美しさの前に、ただただ息をのみます。耳に入ってくるのはすっと空気の流れる音。そして枝からふわりと雪の落ちる音。少しずつ少しずつ、ではなく、「一瞬」ですべてが浄化されていくような心持ちです。
雪で覆われた参道の先に、数段ほどの小さな階段があり、その向こうに仁王門が立っています。
足元に気をつけながら一歩、一歩、歩き始めます。階段は例えば宮城の鹽竈神社などと比べるとそれほど急なわけではないですが、雪が積もっていて滑りやすく、慎重にならざるを得ません。段数にして約70段。ゆっくり階段を上っていくと、拝殿が姿を見せました。雪の中に佇む木造建築の建物の美しさ、何度目にしても素晴らしいものです。
通常の一般家屋でも木造の建物であれば雪の中にあると3割増しから5割増しで美しく見える気がしますが、それが神社・仏閣の建物だと数倍美しく見えてしまいます。緑深い中に鎮座する姿も素敵ですが、雪の中に静かに在るその姿は、清浄な空気を全身に纏って透明な気配を漂わせながら、一瞬と永遠の狭間にある生命の深淵をさりげなく体現しているような気がするのです。
「なまはげ」ゆかりの神社
この真山神社のある「真山」は、古の昔より山岳信仰の霊場であった場所といいます。数え切れぬほどの行者たちが、修験者たちが、そして一般の人々が、様々な思いや願いを胸に、山の中を歩き、瞑想をし、滝に打たれ、自分と向き合い、世界と対峙して時を過ごした場所です。
この「真山」は男鹿半島の中央やや北側に位置していますが、ほかに男鹿半島には東の「寒風山」、中央やや西側の「本山」と山岳信仰の霊場があり、半島全体が深い信仰に根差して発展してきたともいえる場所なのです。その一つが「なまはげ」信仰です。
人の「怠け心」や、人々の「不和」を戒め、災いを祓い、また五穀豊穣をもたらしてくれるという「なまはげ」は、今や秋田の伝統行事として知られて、国の重要無形民俗文化財にも指定されていますが、元来、(諸説ありますが)山の神の化身、「来訪神」なのだそうです。山から下りてきて、人々を戒めると共に厄を祓い、五穀豊穣、無病息災をもたらしてくれるのだそうです。この真山神社はそんな「なまはげ」ゆかりの神社としても知られる所で、なまはげに関連した神事や祭事も行われています。
主祭神として「瓊瓊杵命(ににぎのみこと)」「武甕槌命(たけみかづちのみこと)」が祀られているほか、合殿神として、「天照大御神(あまてらすおおみかみ)」「豊受大神(とようけのおおかみ)」「豊玉毘女神(とよたまひめのみこと)」「少彦名神(すくなひこなのみこと)」「大山咋神(おおやまくいのかみ)」「大名持神(おおなもちのみこと)」「塞神三柱神(さえのみはしらのかみ)」が祀られています。
境内には樹齢1000年以上といわれるかや(榧)の巨樹が立っているほか、数多くの木々に囲まれており、「真山」さらにその奥にある「本山」全体では実に1000種類を超える木々、植物が生えているとか。生命力、命の多様さを感じます。
真山神社 まとめ
交通がそれほど便利とは言えない男鹿半島の中ほどの山の中にあり、簡単にアクセスできる場所という訳ではありませんが(それでも昔と比べると格段にアクセスはよくなったと聞きます。)、その清らかさ、美しさは桁違いでした。タイミング的に人が全くいなかったというのも理由かもしれませんが、これまでに訪れた数々の神社の中でも静謐な雰囲気はトップクラス。それでいて穏やかで柔らかい感じもあり、とても素敵な印象が残りました。年にもよりますが、12月~2月頃は雪が深い場合も多いので、神社までの道はもちろん、車を降りてから(もしくはバスを降りてから)本殿までの道のりも転ばないよう十分お気を付けください。階段や参道は神社の関係者の方が除雪してくれているようですが、雪深い季節は特に足元はしっかりした靴で行かれることをおススメします。
真山神社 詳細データ
真山神社(しんざんじんじゃ) DATA
- 場所: 秋田県男鹿市北浦真山字水喰沢97
- 交通(車で): 秋田空港から車で約1時間~(冬季は時間に余裕をもって計画するのがおすすめです。)
- 駐車場: あり
- 期間: 通年
- 時間: 参拝時間:8:30~17:00
- 問い合わせ: TEL:0185 -33-3033 FAX:0185-33-2468