おやき
公開日: 2013年9月22日 | 最終更新日 2015年6月23日
長野の味覚 「おやき」の魅力
信州のソウルフード
山がちで寒冷な気候の長野はコメ作に適さない土地が多く、その分蕎麦や小麦の粉ものの食文化が発達してきた。そんな長野を代表する郷土の味がこの「おやき」だ。小麦粉やそば粉で作った皮に、信州名物の野沢菜や茄子、かぼちゃ、きのこ、切干大根など様々な具材の餡が包まれる。いわゆるおまんじゅうの様な見た目でありながら、ものによっては軽い食事になるようなボリュームのものもある、信州のソウルフードであり、ヘルシーで栄養たっぷりなスローフード、それが「おやき」なのだ。おやきの発祥は、北信~安曇野周辺(飯綱町、小川村、中条村、信州新町、長野市七二会(なにあい)、長野市芋井、須坂市、戸隠、鬼無里周辺)といわれるが、現在は信州各地で見かけるポピュラーな存在だ。
おやきの種類
その昔は、囲炉裏端で焼かれたことからその名がついたという「おやき」。一口に「おやき」といっても様々なバリエーションがあり、地域によって、蒸して(または焼いて蒸す)作るもの(善行寺平周辺)、米粉で作るもの(あんぼと呼ばれる。栄村周辺)、蒸しまんじゅうのタイプ(上田周辺)、灰焼きのおやき(安曇野・西山)、柏の葉でくるんで焼くもの(柏っ葉やきもち・南佐久郡北相木村周辺)、そば粉をメインに作るもの(川上村)などがある。そのほか、米の粉でつくるもの(えびすこおやき・伊那地方)、薄焼きせんべいのタイプ(飯田周辺)などもおやきの一種だ。
また、中身の「餡」も、上にあげた定番の野沢菜のほか、茄子、かぼちゃ、きのこ、切干大根、ねぎみそ、くるみ味噌、ひじきのくるみあえ、小豆、ごま味噌、しんじゃが、ふき、ふきみそ、わらび、さつまいも、ごぼう、のびる、信州サーモン、地鶏など、多種多様。おやき未体験の人はもちろん、おやきを一度、二度味わって、「おやきってこんなもの」という固定観念がある人も、いくつか違ったタイプのものを試してみるのをおすすめだ。皮の材料、蒸す、焼くなどの調理法、そして中身の組み合わせと、それこそ無数にある「おやき」の中から、自分好みの味を見つけてみてはいかがだろう。
おやきの定番の中身といえば野沢菜。漬物として単体で食べるのとはまた一味もふた味も違う味わいは、地元、観光客の別なく多くのファンを持つ。生まれて初めて、道の駅で「野沢菜おやき」を買って、車の中で走りながら味わった人が、あまりの美味しさにUターンをした、なんていうエピソードも。
皮がぱりっとしたタイプのおやき。油っぽさのない焼き餃子に少し似ていて、しっとり系のまんじゅうタイプの皮があまり好みでない人にも食べやすい。味噌で濃いめに味付けられたナスが絶品。運転中でなければ、是非ともビールと共に味わいたくなる。