
昇りゆく 湯気は昨日の 吐息かな
幸せには様々な瞬間、形がある。美しい風景、楽しい音楽。気のあった仲間と食事をしたり酒を飲んだり。寝転がって星を見たり、爽やかな陽光の下、新緑の中をのんびり歩いたり。好きな映画を見たり、本を読んだり、ゲームをしたり。日頃の悩みやストレスがすーっと溶けて行く様な刹那。空間。時間。そんな中に、「温泉に浸かった瞬間」が入ると思うのだがいかがだろう。特に体の冷える寒い季節に例えば雪の降りしきる露天風呂にすべりこんだ瞬間。思わず、長嘆息が漏れ出てしまうほどに心地よい幸せを感じるのは一人や二人ではないだろう。
日本国内にはおよそ3000箇所以上の温泉があるといわれている。その中には現代の高いボーリング技術で掘削され湧出した開湯僅か数年というものも含まれるのだが、開湯以来数百年という温泉もざらにあるのだ。では日本で一番古い温泉はどこかご存知だろうが。実はこれははっきりしていない。あまりに古くからあるので、推測の域をでないのだ。各地各人諸説紛々だが主なものとして、道後温泉、有馬温泉、白浜温泉、いわき湯本温泉などが挙げられる。これらは日本書紀や風土記にもその名が出てくる由緒ある温泉なのだ。そのほか、山代温泉、粟津温泉、山中温泉、渋温泉、湯田川温泉、辰口温泉、箱根温泉、城崎温泉、秋保温泉、鳴子温泉、黒羽温泉、那須湯本温泉、岩井温泉、玉造温泉、伊香保温泉、蔵王温泉などが古い温泉として知られている。いずれも開湯1200年とも1300年ともいわれる古い温泉だ。中には開湯1900年ともいわれるものもある。温泉がいかに古くから人々に親しまれ、愛され続けてきたことがわかるだろう。
ところで、一口に「温泉」といってもその実態は様々だ。その含有成分によって、単純泉、硫黄泉、塩化物泉、含鉄泉、含銅・鉄泉、含アルミニウム泉 、酸性泉、炭酸水素塩泉、二酸化炭素泉、放射能泉、硫酸塩泉に分けられるのだが、その含有量や含有割合などで効能も大きく変わってくる。♨また、よく知られているように、源泉かけ流しと、循環(加熱、消毒等)があり、宿や温泉地を選ぶ際には、重要なポイントとなる。
子供の頃にこんな事を思ったことはないだろうか。
「温泉ってなんで色が色々あるんだろう?そもそも温泉ってなんだろう?」
温泉法で定義される「温泉」は、かなり広義だ。
「地中から湧出する温水、鉱水及び水蒸気その他のガス(炭化水素を主成分とする天然ガスを除く。)」で次のうち一つ以上が満たされるもの。
1.泉源における水温が摂氏25度以上
2.源泉1kg中に、以下の成分のうち、いずれか1つ以上のものを含む。
これらの物質の種類や含有量により、白や水色、緑、茶、黒等お湯の色が変わってくるのだ。当然その味も。
もちろん、こんな小難しい事を全く頭にいれずとも体一つ、手ぬぐい一つあれば楽しめるのが温泉だ。雪解けの景色、新緑の五月、避暑地の風、舞い降る紅葉、そしてしんしんと降り続く雪・・・朝日や富士山、流れる雲や燃える夕日そして満天の星空。季節や場所や時間で様々な顔を見せる露天風呂。趣のある内風呂。夫婦や恋人、家族や仲間同士で楽しめる貸切風呂。山の出湯や野天風呂、満潮時には波の下に埋もれてしまう海岸の温泉。足湯や砂風呂や洞窟風呂、蒸し風呂、岩盤・・・。本やお酒を手に、のんびりゆったり。旅は道連れ、湯は心。初めて会った者同士でも、仲良く語り時を過ごす。疲れた身体を癒し、病や怪我を治す。凝りかたまった肩の力は徐々に抜け、雑事にひっかかれた心は次第に力を取り戻す。
素晴らしき哉!「湯の国日本」
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