馬のいる風景 阿蘇 草千里 

馬のいる風景

一般に「阿蘇山」というが、実は阿蘇山という一つの山は存在しない、ということをご存じだろうか。阿蘇山は八甲田山や八ヶ岳などと同様、複数の山の総称で、中央部に位置する噴火口のある「中岳」(1,506m)、標高の一番高い「高岳」(1,592.3m)、ギザギザになった姿が猫の形に似ていたから名付けられたともいわれる根子岳(1,408m)、烏帽子岳(1,337m)、杵島岳(1,270m)の阿蘇五岳と呼ばれる五つの山のほか、往生岳(1,235m)などの1,000m級の山が連なってできている、いわば巨大な山塊なのだ。

世界でも有数の大きさを誇るカルデラ、噴火口から立ち上る噴煙とその合間に見える緑白色をした火口湖、そしてその周囲のごつごつとした岩肌が、地球の黎明期を髣髴とさせるような荒々しい景観を見せる一方、草千里ヶ浜、通称「草千里」と呼ばれるかつての火口跡に出来上がった大草原は、雄大で豊かな大自然の美しい一面を見せる。この、荒々しさと美しさが壮大なスケールでもって同居しているのが阿蘇の魅力だ。

団体の観光ツアーだと、噴火口を見て、草千里の一部をちょっと見学してバスで去っていく、というのが定番のようだが、出来れば草千里でゆっくりのんびりと過ごしたい。暑過ぎも寒すぎもしない穏やかな午後など、草原で涼やかな風に吹かれながらただ座っているだけでも、この上なく心地よい気分になれることだろう。遠くで草をはむ馬を眺めながら、何も考えずぼーっと過ごしたり、流れる雲を見ながら昼寝をしたり、非日常感満載のひと時を過ごすことができる。

天気と空の状態に恵まれれば、丘の向こうに沈みゆく夕日が天空を茜色に染め、草原の水たまりに反射して輝くこの上なく美しい風景に出会うことができるだろう。それはもしかすると、あなたにとって、一生忘れることの出来ない思い出の光景となるかもしれない。

阿蘇・草千里の夕日

Memo

標高が高い為、日が傾くと思いのほか寒くなるので、服装にはご注意を。

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