鹿児島の郷土料理
公開日: 2010年3月3日 | 最終更新日 2023年9月28日
鹿児島の食材と聞いて、何を思い浮かべるだろう。多くの人が思いつくであろうものが、「サツマイモ」ではないだろうか。鹿児島地域の旧名であり、現在も鹿児島を表す言葉「サツマ」をその名前に冠した「サツマイモ」は江戸時代に東南アジアを経て日本にもたらされたものだ。水はけの良い土地を好むこの芋は、火山灰を多く含む土壌であった薩摩で栽培されるようになり、1732年(享保17年)の享保の大飢饉の際、西日本地域が大凶作に見舞われ深刻な食糧難に陥る中、その真価を発揮したという。現在でも、食用として、また焼酎の原料やでんぷんの原料としてさかんに生産され、その生産高は全国の4割を占める。そんな鹿児島には当然、サツマイモを使った郷土料理は沢山あるが、薩摩の郷土料理の魅力はそれだけではない。新鮮な海の幸、山の幸。滋味溢れる食材、大切に育てられた野菜、肉類を使用した、歴史に裏打ちされた豊かな食文化があるのだ。魅力的な鹿児島の郷土料理、ご当地料理の一部をみてみよう。
Contents
きびなごの刺身
きびなご(黍女子・キビナゴ)は地域によってキミイワシ、ハマイワシ、ハマゴ、ハマゴイ(静岡)、キミナゴ(三重)、キビナ、スルルなどとも呼ばれるニシン目ニシン科の魚。体長5~10cmほどの小魚だ。(「いかなご」はスズキ目イカナゴ科で別の種)。
鹿児島でお刺身といったらカツオかこれ!というくらいメジャーなきびなごの刺身。開いたものを酢味噌やしょうが醤油で食べる。新鮮なものは光物(ひかりもの)特有の生臭みもなく、こりこりとして甘味がある。きらきらと光る青銀の魚肌が美しい。鹿児島では刺身のほか、天ぷら、串にさしての塩焼き、煮付け、干物、タタキ膾(なます)などにする他、味噌汁に入れることもある。旬は初夏と初冬~春先にかけて。5月~6月頃の産卵期の子持ちキビナゴは塩焼きや天ぷらに。11月~12月の寒の入りの時期は骨もやわらかく、刺身に。しゃぶしゃぶやから揚げもグッド。1月~3月までの産卵に向けて脂ののったきびなごは塩焼き、煮つけ、天ぷら、唐揚げがおすすめだ。
ガネ(がねの天ぷら・がね天)
サツマイモの千切りを揚げたもの。「がね」というのは鹿児島弁で蟹の事。揚がったその姿が蟹に似ていることから、この名がついたと言う。サツマイモの他ニンジンなどの根菜類も千切りにして入れたりもする。
ガネの作り方
1. サツマイモを千切りにし、水にさらした後、ざるにあげて軽く水を切る。(太さは家庭によって太かったり細かったりそれぞれ好みがある。)
2. ボールに小麦粉、玉子、砂糖を混ぜて衣を作る。さくっと軽く混ぜる。そこに千切りにしたサツマイモを入れ、醤油で味をつける。お好みで生姜で風味付け。
3. 手を使ってうまく形にまとめ、たっぷりの油で揚げる。色よく揚がったら、そのまま、または塩や醤油をつけて。
鶏の刺身
薩摩地鶏は日本三大地鶏の一つにも数えられる名地鶏。豊かな自然環境の中で育った地鶏は、全身に旨みを蓄えている。
鹿児島以外にも鶏を刺身で食べる所はあるが、鹿児島の地鶏の刺身は一味もふた味も違う。コクがあり、甘味があってとろけるのだ。生姜醤油、にんにく醤油などで葱やたまねぎなどの薬味と共に、頬張って、薩摩焼酎をぐいっとやれば、愉しい夜になること間違いない。
きーこん
その薩摩の地鶏を使った煮物が「キーコン」。ニンジンや大根、えんどう豆などと共に煮込んで黒砂糖、醤油などで味をつける。鶏も野菜もよく煮込まれ、箸をつけるだけでほろっと崩れる柔らかさ。
つけ揚げ(薩摩揚げ・天ぷら・はんぺん)
ご存知薩摩地方の名産品。魚肉をすり身にし、塩、砂糖、醤油などで味付けをして油で揚げたもの。冷めても美味しいが、やはり揚げたてのアツアツは堪らない。そのままで生姜醤油で食べるほか、さらに炭火で焼いたりもする。醤油、酒、砂糖などで味付けをして甘辛く煮ても美味しい。
その他の鹿児島の郷土料理
鹿児島の郷土料理・郷土菓子
- 薩摩汁・・・さつまいもと鶏肉の入った汁。大根、にんじん、ごぼう、ねぎを入れ味噌で仕立てる。
- あくまき・・・竹の皮で包んだもち米を灰汁につけ、さらにもち米がぷるぷるになるまで灰汁で茹で上げて作る。そのままでは味がないので、きな粉や黒蜜と共に頂く。保存が効く。
- そまんすし・・・そばきいと呼ばれる太めに切ったそばとたっぷりの野菜を入れた料理。寒い時期の家庭料理の一つ。
- 酒寿司・・・海や山の幸と錦糸卵、酢飯のご飯に酢の代わりに火入れをしていない地元鹿児島産の生酒(灰持酒。地元では地酒と呼ばれる)をふりかけ作るちらし寿司。
- こが焼き・・・魚のすり身を入れて作る玉子焼き。伊達巻きに似ているが四角い形をしている。
- さつますもじ・・・上級武士の食べ物であった酒寿司に対し、庶民的なバラちらし寿司。さつま揚げやこが焼き、赤かまぼこ、壺漬けなどを混ぜ込んで作る。すもじとは宮中の女房言葉ですしのこと。
- とんこつ・・・骨付きの豚ばら肉をこんにゃくや大根、ニンジンと共に煮込んだ豪快な伝統料理。黒砂糖、味噌、焼酎を加え、弱火で2~3時間骨から肉が離れる程度までことこと煮込む。
- ヘチマ味噌炒め・・・青いヘチマの皮をむき豚肉などと共に炒め味噌で味付けをする。
- かいのこ汁・・・「かいのこ汁」は、お盆にお供えした白粥の添え物という意を持つ、季節の野菜をふんだんに入れた野菜の味噌汁。
- 茶節(ちゃぶし)・・・鰹節に味噌、好みでネギ、ショウガ、卵などを椀の中にいれ、熱い緑茶または熱湯をかけたもの。鰹節から出汁が出ると共に、具としても食べる。
- 春寒(筍羮または筍寒、春羹(しゅんかん)・・・いわゆる煮しめ。豚三枚肉、ゴボウ、桜島大根、ニンジン、タケノコ、油揚げ、干しシイタケなどを出汁と地酒、薄口しょうゆで煮しめたもの。もてなし料理、祝い膳として作られてきたもの。
- かるかん(軽羹)・・・山芋を使って作る白くてふんわり軽い菓子。江戸時代中期頃より薩摩で作られていた伝統ある菓子。
- げたんは・・・小麦粉と黒砂糖で作った生地を焼き黒蜜に浸したしっとり甘い菓子。
- ねりくり(ねったぼ・いも餅)・・・サツマイモと餅を茹でて、すり鉢でつき混ぜ、きな粉をまぶして食べる。宮崎などにも同じものが存在する。
- かからん団子・・・草もちの一種。ヨモギの入った草もちを「かから(ん)」の葉で包む。
- いこもち・・・煎った米の粉から作る餅。鹿児島の祝い菓子の一つ。
- じゃんぼ餅(両棒餅)・・・みたらし団子の様な菓子。鹿児島の郷土菓子。両棒(じゃんぼ)とは、鹿児島の言葉で、上級武士が刀を二本脇に差していた姿を指す。
- ふくれ菓子・・・小麦粉に黒砂糖、卵、重曹等を入れて蒸した菓子。
- カツオのビンタ料理・・・ビンタとは鹿児島弁で頭という意味で、カツオの頭を豪快に塩茹でした、カツオの町枕崎の名物料理。
- 鶏飯・・・ご飯に鶏肉、錦糸卵、ネギ、漬物などをかけ、酒と薄口醤油で味付けした鶏ガラのスープを注いで頂く。奄美の郷土料理。
- 油ソーメン・・・素麺を茹でたものにニラ、豚肉、玉葱などを加えいためたもの。油ぞうめんとも。沖縄のソーミンチャンプルーに近い。
- みき(ミキ)・・・お米を発酵させて作る奄美地方の発酵飲料。
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豚傳 (とんでん) DATA
- 場所: 鹿児島県鹿児島市東千石町11-4
- 交通: 天文館通駅・いづろ通駅・高見馬場駅からそれぞれ徒歩
- 平均予算: 4,000円~
- 座席数:32席(テーブル席2席、堀こたつ席6席)
- 駐車場: 無
- 営業時間: 11:30~14:00(LO) 17:30~23:00(LO22:00)
- 休業日: 日曜(連休・祝日などの場合は変更あり)
- クレジットカード:VISA, MASTER, JCB, NICOS(日本信販), ダイナース
- 問い合わせ: 099-219-1580