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世界一の日本庭園 足立美術館

足立美術館 日本庭園足立美術館 日本庭園

世界的に著名な「日本一」の庭園

その名は、神須佐能袁命(かむすさのおのみこと)が「安来く地(やすけくち)」として名付けた、と8世紀に編纂された「出雲国風土記」に「出雲国意宇郡安來郷」の名で伝えられるほどに歴史のある土地であり、古くから一帯で行われてきた鉄づくりの中心都市として栄えてきた島根県の安来市。

中心部である市街地は鳥取県の米子市から車で約15分、松江市からも車で30分前後ほどの中海沿岸地域にありますが、市域は雲南市や奥出雲町と隣接する形で山間部へと広がっていて、そこかしこに神話時代から近代に至るまでの伝承と伝統を今に伝えるような史跡、遺跡、遺構、神社、城などが点在しており、この地域の奥深さと歴史の長さを感じさせられます。

そんな安来市の、沿岸部から少し山間(里山)に入った場所、米子から車で25分、松江からなら車で35分ほどのところにあるのが「足立美術館」です。緩やかな山と平和な田畑が広がり、石州瓦の特徴的な赤銅色の家々が点在する穏やかな風景を横目に走っていると気が付けば着いてしまうほどの距離感です。

「足立美術館」に着いて驚くのがまず、駐車場の広大なこと。取材で到着した時間は昼より少し前の時間でしたが、結構な数の車やバスが止まっており、お暇する頃にはさらに大型バスが何台も止まっていました。米子や松江からはさほど苦も無く到着してしまう場所とはいえ、東京などの大都市からのアクセスで考えると決して交通の便がいいとは言えない立地であるにもかかわらず、なぜこれほどまでに沢山の人がやってくるのか。ご存じの方もいらっしゃると思いますが、この足立美術館、日本国内でもある一定の人々にはよく知られている美術館であり、海外でも特に日本の伝統文化や美術などに造詣の深い人なら大抵その名を知っているような有名な場所なのです。

それこそが、足立美術館にある「日本庭園」。この足立美術館の「日本庭園」は、桂離宮や二条城二の丸庭園、栗林公園など、日本国内のそうそうたる場所を抑え、アメリカの日本庭園専門誌が「日本庭園ランキング」の一位として選出しているのです。それも20年連続1位というから驚きです。日本庭園のランキング1位ということは実質世界一の日本庭園といえそうです。

足立美術館

日本国内の文化的美術的な場所・品々やビュースポットなど、実際に足を運び、見てみれば「素晴らしい」「素敵だわ」と感じるとしても、その存在や普遍的な価値にそこまで気づかずに、海外から認められて初めて「それほど素晴らしかったのか」と日本人が気がつく事例は山ほどありますが、ここ足立美術館の日本庭園もその一つなのかもしれません。

東京や大阪などの都市部から遠く、京都などと比較すると著名な観光スポットもあまり多くない山陰の地にあって、大型バスがバンバンやってくるという事実は、なにも情報がない状態であれば、かなり驚くべき光景であり、そんな美術館は、国内を見渡してもかなり特異な存在である気がします。さらに付け加えるならば、入場料は2000円を超すのです。

しかし、一歩館内に足を踏み入れると、その値段も、各地から(もちろん海外からも)沢山の人々が訪れる理由も納得してしまうのです。

余談ですが、筆者がロンドンに滞在していた時、ナショナル・ギャラリーやヴィクトリア・アルバート博物館、テート・ブリテン、そして大英博物館と、絵画や彫刻、歴史的・文化的遺産等々、人類の至宝の数々が無料(常設展)で見られることに感激、感動した覚えがありますが、これは世界的に見ても珍しいことであり、その規模と充実度から考えると希少なケースといえるでしょう。文化的な価値や芸術に理解がある国民性というのもあるでしょうし、「旧大英帝国」の気概みたいなものもあるのかも知れません。

いずれにしてもイギリスのケースは世界的に見ても稀有なことで、一部の例外を除き、フランスもイタリアもアメリカも博物館や美術館は軒並み有料(それもそれなりの値段)なのです。

それは、人々が生活必需品でないものにコストをかけることができる、という経済的、精神的な余裕の表れであり、文化的、芸術的なものに対する理解の深さでもあるでしょう。そもそも、博物館にしても美術館にしても展示品や収蔵品の維持や補修、保全、管理等を行うだけでもかなりのコストがかかります。それに加えて、建物や設備などにもお金がかかるでしょうし、膨大な人件費もかかります。清掃や設備の点検・修理の手間暇とコストもバカにできません。

随分と回りくどくなりましたが、要は足立美術館の入場料(取材時2300円)には相応の価値があるということです。(と同時に鑑賞しているだけでも、維持管理に相当のコストがかかるであろうことが容易に想像できます。)

当然人により趣味や嗜好は異なるので、値段のことを考慮すると万人向けとはならないのかもしれませんが、「美しいものが好き」な方であれば、かなり満足出来るのではないかと思います。

一つだけ注意点があるとするならば、スケジュール的に時間の余裕をもって計画を立てるとよいかと思います。時間に追われていると、日本庭園も展示品も「ああ綺麗だなあ」「素敵・・・」と思いながら、駆け足で終わってしまうかもしれません。

足立美術館

お庭も焼き物も、じっくりと時間をかけ、矯めつ眇めつ眺めることにより、パッと見ただけでは見えなかったもの、気が付かなかったものが見えてくることでしょう。

特に庭園は、木々や石の並びや姿の美しさは勿論、背後の山や空、浮かぶ雲もあわせてゆっくりと堪能したいものです。

足立美術館

木や石、苔、山、雲、風(屋内からピカピカに磨き上げられた窓ごしに庭園を鑑賞する形式(上写真)ですが、順路通りに歩いていると所々直に見ることができるようになっています。)、それらが一体となって作り上げる至高の情景、それはまさに美術館の創立者である足立全康氏が言うところの「庭園もまた一幅の絵画である」という信念そのものであるような気がします。

足立美術館
足立美術館

足立美術館

足立美術館

足立美術館

足立美術館

足立美術館

足立美術館

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足立美術館

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