めはり寿司

シリーズ「日本の伝統食」

めはり寿司

熊野・吉野の郷土料理

めはり寿司(目張り寿司)はおにぎりを高菜の浅漬けで包んだ熊野(和歌山・三重)地方・吉野(奈良)地方に伝わる食べ物。紀州・新宮町(現・新宮市)出身の文豪佐藤春夫をして、「故郷のうまいものは、1にめはり、2にさんま」と言わしめたこの地方を代表する郷土料理の一つだ。

元々は、山深いこのエリアで働く人々の手早く食べられる食事・弁当として作られるようになったもので、大きいものでは片手に余るほどの大きさだったというその見た目や、大きさゆえに食べるときに大きく口を開けなければならず、自ずと目を見張る格好になる事から、目を見張るような寿司、転じて「目張り寿司」「めはり寿司」と呼ばれるようになったとか。

「寿司」と呼ぶにはあまりに見た目が違いすぎると思われる向きもあると思うが、現在の「江戸前の流れを汲む寿司」は江戸時代に発明された便宜的にご飯に酢で味をつけたもので、元来は鮓または鮨と呼ばれていた(乳酸菌で自然に酸っぱくなった)ふなずしなれずしなどの発酵食品の変化形。「寿司」を「発酵食品」の一つと考えれば、握り寿司や巻き寿司、押し寿司のような形をしていなくても、発酵食品である漬物で包んだ「めはり寿司」も寿司と呼べないこともない。

山に入って重労働をする「きこり」や、筏(いかだ)で木や人を運んだりする「イカダ師」の人々が持っていった「めはり寿司」はまさに目を見張るほどの大きさで直径にすると10センチ以上もあったというが、現在見かけるもの、特にお店で食べるようなものは小ぶりのものが多い。醤油で味付けをした高菜の漬物にくるんと包まれた緑色のめはり寿司は見た目にも愛嬌があって、なんとなく楽しくなる。

握り飯を高菜で包んだだけという、素朴な味わいながら、そのシンプルさが受けて地元の人のみならず、訪れた観光客にも人気の郷土料理なのだ。

高菜の葉は、幾重にも巻くと噛み切れないこともあるので、一重半くらいに巻くのがコツだという。薄い所を上手く手でちぎって握り飯を割ってみると中から梅肉が顔を出した。

meharizushi

刻んだ高菜がいれられためはり寿司

Share