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ひゅうず

ひゅうず

白くてもっちりとした、まるで大ぶりな餃子か何かのような形をした見た目。上にぱらぱらと撒かれた20粒ほどの黒ゴマがかわいらしいアクセントになっている。二つに割ると、中からとろーりと溢れ出す甘い蜜。刻んだクルミも顔を出す。一口齧ってみると、素朴な皮と甘い蜜とクルミの香ばしさが一体となって、なんとも言えない幸せが体を抜けていく。

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「ひゅうず」は、地域によっては「ひゅうじ」「ひゅうずもち」「かますもち」「きんかもち」「みみっこもち」などとも呼ばれる岩手県の郷土菓子。農作業の合間に食べる間食(小昼・こびる)や子供のおやつとして、また盆の供え物として昔から作られてきた伝統食だ。その形状が、火打石に似ていることから「ひうち」が訛って「ひゅうず」となったとも言われている。

そのシンプルな見た目は、忙しい農家で手間をかけずに手早く作るため。地粉の南部小麦の粉を練って作った皮に、黒砂糖で作った蜜や刻んだクルミなどを入れて半月状に折り畳み、お湯で茹でたら出来上がり。地域により中身は黒砂糖入りの味噌餡だったり、甘辛い胡麻味噌だったり、黒砂糖とすりごまを合わせたものだったり。砂糖が貴重だった頃は豆味噌とクルミを詰めたものが多かったとか。

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シンプルで余計なものが一切入っていないのが安心でうれしい。わくわく市場(道の駅いわいずみ)の「ひゅうじ」

Japan Web Magazine 編集部

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