京都は夜こそ美しい?! 「京の町」夜の散策のすすめ
公開日: 2022年10月13日 | 最終更新日 2022年10月13日
京都の夜の風景 夜の京都の美しい街並み 京都の夜景
由緒ある神社仏閣や日本庭園などが数多く点在し、その伝統と歴史に裏打ちされた文化と町並みが国内外の人をひきつける「京都」。グルメも懐石料理から天ぷら、洋食、和菓子、ラーメン、パン、最新スイーツに至るまで、様々なものが目白押し。仕事や観光で何度訪れても魅力的な街です。
そんな京の町を観光で訪れる場合、一部参拝時間が自由な神社などもある一方で、「朝の8時か9時頃から夕方の16時か17時頃まで」というような拝観時間が決まっている有名寺院や庭園なども多いため、昼間のうちにそうしたスポットを巡り、合間に食事やお茶、スイーツ、買い物を楽しみ、夜は旅館で食事、またはホテルに泊まって、日本料理店に出かけて食事したり、近隣の食事処や居酒屋で飲食、タクシーで宿に帰るという行動パターンの方も結構多いかと思います。もちろん、そんな京の愉しみ方もアリですが、今日は是非、夜の京都を楽しむことをおすすめしたいのです。
「夜の京都」と聞いて、「いやいや、クラブやバーなどのナイトライフは苦手だし・・・」という方も当然いらっしゃるでしょう。いえいえ、夜の京都を楽しむといっても、夜の街で飲んだり遊んだりするような、いわゆる「夜遊び」の話ではありません。もちろんそういった時間が好きな人にとっても京都は、「お茶屋文化」に代表される長い歴史と伝統があり、東京が逆立ちしても到底かなわないような「粋で奥深い文化」とそこから醸し出される雰囲気もあるわけで、最新のスポットなども含め、充実した「夜遊び」が存分に楽しめる町ではありますが、ここではそうした「夜の京都」のお話ではなく、町並みや建物、風景、雰囲気としての「夜の京都のススメ」なのです。
昼間見ても美しい伝統的な京の街並みや、神社仏閣、町屋などの建築物は、夜に見るとまた一味も二味も違った趣があり、夜の繁華街以外は人通りもぐっと少なくなって、実に味わい深い雰囲気が漂っていたりするのです。
当然、門や塀があり、それが閉ざされているような神社仏閣の中まで見ることはできませんが、表門の雰囲気であるとか、塀越しに見える建物のたたずまいであるとか屋根のシルエット、そういったものが昼間とはがらりと表情を変え、その悠久の歴史がひしひしと伝わってくるような「重厚感」にあふれた雰囲気に満ち溢れているのです。曲がりくねった細い路地や、石畳の坂道、昔ながらの町家の建物。ライトアップされた五重塔なども「明るくきらびやかなイルミネーションのビル」とはまた異なった「品」の漂う雰囲気。時折、酔客やタクシーなどとすれ違いながら、なんとはなしにそぞろ歩いているだけで、身も心もどっぷりと京都の町に浸っていくような感覚に陥ります。
歴史の町「京都」といえども大都会には変わりなく、中心部の繁華街や表通りは夜の遅くまで賑わっていますが、そんな場所でも一本通りを入っただけで、まるで一瞬で違う町にジャンプしたかのような、静かで落ち着いた町並みが広がっていたりします。昼間に観光客や学生で賑わっていた通りも、夜になればひっそりと静まり返っていたりします。東山などの人気の観光スポットは暗くなっても賑わっていますが、それでも随分と落ち着きを取り戻し、本来の「町のたたずまい」が感じられるような魅力を放っていたりします。
美しさや雰囲気ももちろんですが、「夜の京都」はシンプルに「歩きやすい」というメリットもあります。人気の観光スポットは、昼間は東山や嵐山はいうに及ばず、多少中心地から離れた場所であっても人が多く、建物や通りの写真を撮るために立ち止まっていたり、食べ物屋さんの前に行列ができていたり、そこで買った食べ物を「映えるように」写真を撮っていたり、ひっきりなしにタクシーやバスが来たりと、単に人が多いだけではなく、立ち止まっている人や行きかう車も多いので、思うように歩けなかったりもしますが、夜にはそういったストレスがありません。純粋に、雰囲気と景観を堪能しながら散策が楽しめる、というわけです。
京の町の夜のおすすめの散策方法としては、まず一つに、昼間に寺院やお店などの観光スポットを訪れる際に、なんとなく目星をつけておくというやり方です。観光スポットの周辺でもいいですし、行きかえりの道すがら、バスやタクシーから見える通りでもいいでしょう。ちょっと気になる場所があったら、グーグルマップなどでチェックしておいて、後で暗くなってからまた来てみるという方法です。ただ、この方法は、夜になってその場所を再訪してみたら思っていた以上に暗かったり人通りもなく寂しかったりして、想像していたのと随分と違った、ということも多々あるので、そういったハプニングも楽しめる方ならいいとしても、事前に検索などでその場所の夜の雰囲気などがわかればチェックしておくのも一つの方法です。特に中心部から遠い場所や、ご自身の宿から遠い場所は、わざわざ遠くまで行ったのに、全然思い描いていた風景と違った、と期待外れ大の場合もあり、距離の分「がっかり感」も大きくなるのでご注意ください。
もう一つは、夕ご飯なしの宿を選び、どこかのお店で食事をしてから、宿まで、例えば裏道などを選びながらのんびりと散策する方法です。これならば、経路を大きく外れない限り、歩けば歩くほど宿が近づいてくるので安心感もあり、また疲れたらタクシーなどに乗ってしまえばいいので気が楽です。
なにより、行き当たりばったりの場合「発見と出会い」の楽しさと喜びと驚きがあります。観光地でも何でもない裏路地がとてつもなく美しかったり、ふとした所に町家が残っていたり、観光情報にもあまり掲載されていないような小さな(でも素敵な雰囲気の)神社があったり、歴史的なエピソードにまつわる建物や石碑が立っていたり、さすがは京都と唸らされるような「発見と出会い」「感心と感激」がいくつもあったりするのです。もちろん、行き当たりばったりではなく、食事をした場所から宿までの経路を事前にしっかり調べ、食事処周辺や宿周辺、そして道中に何があるか、またはちょっと寄り道してでも行かれる場所に良さげな所があるかなどをチェックして、散策するのもいいと思います。
是非、夜の京都の町並みを楽しんでみてくださいね。