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室堂小屋

立山室堂平

真冬の深い雪に埋もれた世界から一変、短い夏には花と緑の美しい世界を見せる立山室堂平。標高2,450mに位置するこの場所は、立山の主峰雄山をはじめとする立山三山や周辺の山々への登山の拠点として、また、温泉やみくりが池、雷鳥沢などの散策を目的に訪れる人たちの休憩地、宿泊地として知られる。

その室堂平の一画に建つ二棟の木造の建物が、立山室堂山荘の隣にある室堂小屋(立山室堂)。現存するものとしては日本最古の山小屋で、昔の立山における信仰や登山、民俗の様子を今に伝える貴重なものだ。

室堂小屋

「室堂」は、立山の地名として広く知られているが、元々は宿泊所を兼ねた宗教的な建物としての意味を持つ言葉(「室」は宿泊所。「堂」は本堂、御堂などのように宗教的な建物を指す。白山には白山室堂がある。)で、この立山室堂も、立山信仰の人々が雄山山頂の立山寺(雄山神社)への途中に宿泊したり、祈祷をささげたりする施設であった。現在の建物は1726年(享保11年)に加賀藩によって再建されたという記録が残っており、それ以前にも建物があったことが解体修理の際に行われた発掘調査で確認されている。

発掘調査の際には、12世紀頃の宗教的な遺物も発見されており、鎌倉時代頃から山岳信仰の修験者や僧侶がこの地までやってきて、何かしらの宗教的活動を行っていたと推測されている。交通の便が良くなった現在でもこの場所まで来るのは中々大変だが、その当時の人々はどのようにしてここまで到達したのだろうと思うと感慨深い。

日本でも屈指の豪雪地帯としても知られる立山一帯は、冬の積雪が数メートルから数十メートル以上になることもある為、建物も非常に堅牢な造りになっており、幅一尺(30センチメートル)はあろうかという頑丈な柱が立っている。明治以降は民間に払い下げられ、ペンキを塗られたり、トタンで覆われたり、アルミサッシがはめられたりと大幅な改築と修繕を加えられながら、1980年代まで実際に山小屋として機能していたというのも驚く。

1985年頃、老朽化の為、建て替え計画が持ち上がった際に調査したところ、江戸時代の再建当時の構造材などがそのまま多く残されていることが判明、隣接する場所に新たに立山室堂山荘が建てられたのち、この山小屋は解体修理され、かつてのような姿に復元された。現在は文化財として保護され、室堂平を訪れた人々が見学できるようになっている。


大正時代の室堂山荘と登山者

当時、室堂平では唯一の宿泊施設であり、短い夏のシーズンには多くの客や案内人で賑わったという。

室堂小屋

関連リンク

昭和40年代の室堂山荘(立山室堂山荘HP)
昭和30年代の立山アルペンルートの様子

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現存する日本最古の山小屋。国の重要文化財。

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