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金屋町重要伝統的建造物群保存地区

金屋町重要伝統的建造物群保存地区
金屋町(格子造りの家並み)重要伝統的建造物群保存地区

格子造りの家並みと石畳の調和した美しい町並みで知られる金屋町は、富山県高岡市の中心部にほど近い場所に位置する町。高岡でも古い町の一つで、加賀藩主・前田利長が高岡城を築き城下を整備した際、産業奨励の一環として、領内の砺波郡西部金屋から金森弥右衛門ほか7人の鋳物師を呼び寄せ、鋳物場を開かせたのが町の歴史の始まりだ。

鋳物場及び住宅用地として幅五十間、長さ百間(約5000坪)の土地を与え、諸役・諸税を免除し、手厚く保護したことから町は発展、高岡鋳物、高岡銅器産業の中心地として大いに栄えた。

鋳物師らは、当初は日用品の鍋や釜などの鉄器を、後に銅製品をはじめとする多種多様な金物を生産するようになる。江戸時代中期頃には、町の鋳物師の数は日本一であったという。

現在、町にあった工場は郊外に移転したが、江戸時代から受け継がれてきた鋳物技術は現代にも引き継がれ、銅器の全国シェアは90%を誇る。また、鉄器、アルミ製品でも全国に知られている。

そんな高岡の産業の基礎を築きあげた金屋町は、往時の賑やかさこそ変化したものの、地元で「さまのこ」とも呼ばれる江戸時代の風情が漂う「千本格子造り」の家々が今も軒を連ね、銅片がちりばめられた石畳と共に美しいたたずまいを見せている。

金屋町

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金屋町

金屋町

金屋町

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Memo

2012年(平成24年)には、「鋳物師町」としては初めて国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されている。

毎年、前田利長の命日にあたる6月20日に、利長の遺徳をしのび、報恩・感謝の意を込め「御印祭(ごいんさい)」と呼ばれる催し物が執り行われる。前夜祭では、「やがえふ街流し」が行われ、地元はもとより近隣から集まった1000人もの人々が、鋳物師の作業唄である民謡「弥栄節」と共に町中を踊り流す。

町中には、鋳物の製作体験などができる工房や錫アクセサリー作りが体験できるお店があり、散策の合間に伝統の技を体験することができる。

金屋町と周辺の見どころ

高岡市鋳物資料館・・・金屋町の民家を利用した資料館で、400年の歴史を誇る高岡鋳物の変遷を伝える様々な道具、古文書や、鋳物の鋳造技術に関する展示が行われている。

旧南部鋳造所のキュポラ及び煙突・・・金屋町の一角にある、地金を溶解するための西洋式の煉瓦積みの高い煙突を持つ新式溶鉱炉。国の登録有形文化財。キュポラ(cupola)は溶鉱炉のことで、明治末期から複数のキュポラが建造されたが、現存するのは、旧南部鋳造所のもののみ。旧南部鋳造所のキュポラと煙突は、1924年(大正13年)に建設されたもので、1998年(平成12年)にその役目を終えるまで稼勤していた。

有磯正八幡宮(ありそ しょう はちまんぐう)・・・1610年(慶長15年)の高岡城築城の際に、有礒海(氷見七浦)の守護神でかつて雨晴岩崎の沖合いの「渋谷の浜」に鎮座していた「有磯宮」と、文明年間に神主上田丹後守によって勧請されたと伝えられる「横田正八幡宮」の二社が合祀された神社。主祭神として金屋町の氏神で、鍋宮様とも呼ばれる石凝姥命(いしこりのどめのみこと)が祀られている。1935年(昭和10年)築の社殿は、「有磯造り」と呼ばれる銅板葺の屋根を持つ建築で、国の登録有形文化財に指定されている。

金屋緑地公園・・・前田家家紋の梅鉢紋の形を模した公園。高岡鋳物発祥地の記念碑、弥栄節や鋳物作業の像などが建つ。一画が観光用駐車場になっているので、金屋町散策の際はこちらの駐車場へ。わき道から金屋町へアクセスできる。

JWM Tomo Oi

浅草在住。ウニとホヤと山と日本酒をこよなく愛しています。落語好き。

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