忍城
公開日: 2010年10月12日 | 最終更新日 2024年3月23日
浮き城
埼玉県北部にある人口約8万7000人の町「行田」は、ちょっと不思議な名前のご当地グルメ「行田ゼリーフライ」で知られますが、その行田にあって、かつて「関東七名城の1つ」とも謳われた城が「忍城(おしじょう)」です。上杉、北条氏との戦いにも屈せず、豊臣秀吉の派遣した石田三成軍の水攻めにも耐え抜き落城しなかったことから、別名「忍の浮き城」とも呼ばれました。
築城は文明年間(1469年~1486年)。この地の豪族であった成田正等、顕泰父子が、一帯を支配していた扇谷上杉家の家臣忍一族を滅ぼし築城したといわれています。翌年には扇谷上杉家に攻められますが、太田道灌の仲裁で和睦。以降、1553年(天文22年)に北条氏康、1574年(天正2年)には上杉謙信に攻められるものの、これを退けています。
1590年(天正18年)、「後北条氏」を討たんと豊臣秀吉が関東に大軍を送り、小田原城と共にこの忍城も包囲されます。忍城攻めの総大将は石田三成でした。三成軍は忍城を一望する山(埼玉古墳群)に本陣をはり、総延長28キロメートルに及ぶ「石田堤」を建設、近くを流れる利根川の水を利用して、成田長親を筆頭に兵や農民らおよそ3000人が篭城する忍城を水攻めにしましたが、城は持ちこたえました。結局、先に小田原城が落城したことによって戦は終結し、忍城が落城することはなかったのです。これにより忍城は別名「忍の浮き城」と呼ばれるようになりました。
御三階櫓は、忍城の実質的な天守としての機能を果たしていたもの。明治6年に主だった建物と共に解体されましたが、1978年(昭和63年)、忍城の本丸跡に再建されました。城や行田の町の今昔を豊富な写真や資料で紹介する展示室になっています。天辺の鯱鉾(しゃちほこ)は高さ1.8メートル。国内最大級の大きさです。
Memo
忍城は山本周五郎の「笄掘」をはじめ、「水の城 いまだ落城せず」(風野真知雄)、「風来忍法帖」(山田風太郎)、「紅蓮の狼」(宮本昌孝)、そして「のぼうの城」(和田竜)といった小説の舞台となっています。野村萬斎主演の映画「のぼうの城」も大ヒットしました。
毎年11月には、「のぼうの城」をテーマに「行田商工祭・忍城時代まつり」が行われます。忍城に甲冑武具をつけた有志が集結、時代絵巻が繰り広げられます。地元商工業者による物産大バザールなど、楽しいイベントも盛りだくさん。問合わせは048-556-4111 (行田商工会議所)まで。
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忍城(おしじょう) DATA
- 場所: 埼玉県行田市本丸
- 交通(公共交通機関で): JR熊谷駅から行田車庫行き朝日バス忍城バス停下車すぐ。 / または秩父鉄道秩父本線「行田市駅」下車、徒歩15分(約1.2km)。/ JR高崎線「行田駅」から市内循環バス(左回り)で水城公園前停留所下車徒歩。
- 交通(車で): 東北自動車道羽生ICより約14km、または関越自動車道嵐山小川ICより約20km、国道125号を行田市内「市役所入口」交差点から西に300m。
- 駐車場: あり
- 期間: 通年
- 時間: 9:00~17:00(入館は16:30まで)
- 休み: 月曜(祝祭日は開館)、祝祭日の翌日(土・日曜日は開館)、毎月第4金曜日(テーマ展・企画展中は開館)及び年末年始。
- 料金: 無料・行田郷土博物館の入館料は一般200円、大・高校生100円、中学・小学生50円。
- 問い合わせ: 048-554-5911
忍城
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