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海の見える駅へ!美しい風景を見られる駅「下灘駅」に行こう!

下灘駅下灘駅

海の見える駅へ!

日本の鉄道の長さ

現在、日本国内を走っている鉄道はおよそ27,800キロメートル。これはJR北海道、JR東日本、JR東海、JR西日本、JR四国、JR九州という、JRの各路線に、京王、東武、西武、京成、小田急、阪急、阪神、近鉄、名鉄、南海など各地の私鉄を加えた旅客営業キロの合計であり、世界で見るとだいたい第10位前後くらいの数値です。上位に入っている国々、例えばアメリカや中国、インドといった面積の大きい国や平地の多い国々と比較しても、国土の狭さや、山がちな地形で鉄道を通しにくい場所が多いことを考慮すると、さすがは鉄道王国ニッポンといった感じでしょうか。

ご存じのように、モータリゼーションや人口減少などを要因として、またはそれらに加えて台風や地震などで線路が被害を受けたことをきっかけにして、旅客営業キロはこの数十年で減少、特に北海道では50年前に4000キロメートルあった営業キロが、2500キロメートルにまで減り、いまなお多くの赤字路線は維持困難として、厳しい状況に置かれているといいます。

その一方で鉄道の営業キロが増えているところもあるのです。そう、新幹線です。この数十年で東北や上越、山形、秋田、北陸、九州、北海道新幹線が開業、新幹線だけで3000キロメートルの営業キロが増えています。

地方の不採算路線は消えてゆき、一方で新幹線が増え、早くてきれいな列車で大量に人を運ぶという、効率的で合理的な、まさに現代的な図式が出来上がってきているわけです。移動時間を極力減らし、より早く、より楽に、仕事先や旅先に赴く。テクノロジーの進歩のおかげで、今の私達はその快適さを享受しています。

スロートラベル

その一方で、旅をゆっくり楽しみたい、という人も少しずつではありますが増えてきているといいます。新幹線や特急、もしくは飛行機を使って、昔よりも遥かに短時間で行かれるような場所に、あえて時間をかけて、例えば各駅停車、普通列車に乗り、足を運ぶ。昔(~つい最近まで)のように、時間と効率のみを重視して、慌ただしく旅をするのではなく、移動時間も含めた旅全体を、時間や手間暇をかけて楽しむ、という風潮が何年も前からできているのです。

そんなスローライフならぬスロートラベルにぴったりなのが、地方を走るローカル線。一両や二両、多くても三、四両くらいの編成で、地方都市間や、都市部~沿岸部の港町や山間部の寺社町などを結ぶ路線です。朝晩こそ、通学や通勤の地元の人々で混雑することはあっても、昼間は比較的のんびり。車窓の外を流れゆく田園風景や里山の風景、美しい海や山の景色を見ながら、ぼーっとしている瞬間は、鉄道好きならずとも、開放感や爽快感、旅の醍醐味を感じる瞬間ではないでしょうか。

四万十川の流れる美しい風景の中を行く予土線
四万十川の流れる美しい風景の中を行く予土線

毎年のように「どこどこの路線が廃線になります。」というニュースが流れ、実際に鉄道ファンや地元の人々で混雑する路線営業最後の日の様子がテレビ画面で放映されたりもしていますが、それでも日本国内にはまだまだ数多くの地域に密着した路線、ローカル線が走っており、それらの路線の駅の中には、素晴らしい風景を堪能できる駅や、美味しい地元グルメが食べられる駅、温泉に入れる駅、などという駅も数多く存在します。バラエティ番組や旅番組、ウェブサイト、ガイドブック、雑誌、Youtubeなどでも度々取り上げられるので、そういった駅を画面や紙面で目にしたことがある人も多いでしょう。ランキング形式で、特集されることも少なくありません。美味しい駅、面白い駅、素敵な風景の駅、へき地にある駅等々。中でも、「絶景を見られる駅」は人気のあるコンテンツとみえて、よく見かけるものの一つ。

今日はそんな「絶景を見られる駅」の中でも、とくに人気の「美しい海を見られる駅」「海のすぐそばにあってロケーションの素晴らしい駅」として、国内のみならず広く海外でも知られている「下灘駅」をご紹介します。

予讃線 下灘駅

愛媛県松山市の松山駅から予讃線の宇和島方面行に乗って約50分、伊予市双海町大久保の伊予灘に面した見晴らしの良い場所にあるのが「下灘駅」。

1935年(昭和10年)6月9日に当時の予讃線の終着駅として開業したのがその歴史の始まりです。(開業の約4ヶ月後の10月6日には、伊予長浜駅までが開通し終着駅ではなくなっています。)

駅には開業時に建築された木造の駅舎が改装されながらも今も残っており、趣のある雰囲気を醸し出しています。かつては島式ホーム1面2線の駅でしたが、1線が撤去されたため、単式ホーム1面1線の、より雰囲気のあるローカル線の駅の様相となっています。それだけでも、既にちょっとした素敵な「ローカル線の駅」といった感じなのですが、この下灘駅が他の駅と比べても特別に素晴らしく、魅力的なのが、驚くほど海に近いそのロケーションです。

下灘駅

写真のように、ホームのすぐ向こうが海であるように見える程、海に近い駅なのです。実際には、海と線路の間には国道が走っており、さらに高台にあるため、線路のすぐ向こうが海、というわけではないのですが、圧倒的に素晴らしいロケーションと、その風景の美しさから国内はもとより、台湾や香港、といったアジアやヨーロッパ、アメリカなどからも観光客、鉄道ファンが訪れる人気の駅なのです。

下灘駅は、元々は地元の人々と、一部の鉄道ファンにのみ知られているような、ローカル線の一つの駅にすぎませんでした。

しかし、その風景の美しさは徐々に人々に知られる所となり、さらには18きっぷのポスターに使われたことにより、全国区の知名度を持つようになりました。18きっぷのポスターには3度採用されているほか、1977年公開の「男はつらいよ 寅次郎と殿様」をはじめとする数々の映画やドラマ、CMのロケ地となり、バラエティ番組や旅番組などにも登場しています。

ちなみにその昔は、現在のように駅と海の間に国道は通っておらず(1990年代の改良工事の際、海岸を埋め立てて国道378号が通りました。)、今よりもさらに「海に近い駅」であったそうです。

下灘駅

下灘駅はやはり天気の良い青空の日に訪れるのがおすすめです。真っ青な伊予灘の美しい海と小さいながらも雰囲気のある木造の駅舎と、シンプルなプラットホームのコントラストの美しさは、印象的です。時間があれば、汽車で訪れて駅で降り、汽車が何本か行き来するのをぼんやり眺めたりするのが最高ですが、本数が少ないので、余裕のあるスケジュールが必要です。

海の見える駅 下灘駅
下灘駅

下灘駅へのアクセス 駐車場

下灘駅へは予讃線で松山駅から所要時間42分~52分。伊予大洲行、宇和島行、八幡浜行などがあります。

下灘駅へ車で行かれる場合は、松山市内から車で約50分。国道は走りやすくて快適なドライブを楽しめます。ただ国道から下灘駅の前へ行く道は細く、駅の隣の駐車スペースは数台分しかないので注意してください。天気の良い土日・祝日は満車であることも多いです。2018年には下灘駅から300メートルほど行った場所に「下灘駅臨時駐車場」ができ、20台ほど駐車できるようになりました。いずれにしても国道からの道は狭いのでご注意くださいね。下灘駅まで歩いて10分~15分くらいかかりますが、国道沿いに「しもなだ運動公園」の駐車場もあります。そちらは駐車スペースに余裕がある場合が多いので、そちらに駐車するのもよいかもしれません。のんびりとした雰囲気に包まれた場所ですので、駐車スペースでイライラしたり、トラブルになったりしないように、余裕を持ったスケジュールと余裕を持った気持ちで訪れると楽しい時間が過ごせるかと思います。

いずれにしても、汽車の本数も少なく、「汽車と駅」や「汽車と風景」を見たり撮ったりするためにも時間がかかりますので、ゆったりした計画を立てるのがおすすめです。車で10分ほど松山方面に走った場所には「道の駅ふたみ」があり、大洲方面に車で5分ほどの場所にコンビニ、さらに10分ほど走ると長浜のスーパーマーケットやコンビニもあります。特に「道の駅ふたみ」には地元のご当地グルメ、ご当地菓子、愛媛の郷土料理もありますので、時刻表を見ながら計画してみて下さいね。

下灘駅に停車する予讃線
下灘駅

夕暮れの下灘駅

下灘駅

下灘駅

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JAPAN WEB MAGAZINE Tomo Oi

浅草在住。ウニとホヤと山と日本酒をこよなく愛しています。落語好き。

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