三崎港

初春の三浦半島

三浦半島

春の訪れ

概して太平洋側にある半島の春は早い。近郊の都市部が依然として冬の寒さに包まれている頃、半島には一足早く春の訪れを知らせる風が吹く。東京近郊で言えば、房総半島がそうだ。伊豆半島然り。房総では一月に菜の花が咲き、伊豆では二月に桜が咲く。

東北や信越地方がまだまだ深い雪に閉ざされている頃、ここ三浦半島にも春の気配が漂い始める。黄色や白の春の花が咲きはじめ、鳥が歌い、土の中で眠っていた生物達は蟄居をやめて、よっこら活動をはじめるのである。

三浦半島

初春の三浦半島と三崎港の魅力をフルスクリーンで見る

三浦半島

三浦半島は、関東地方南西、神奈川県南東部から太平洋に突き出している半島だ。浦賀水道を挟んで、東側の房総半島と東京湾を形成している。

その温暖な気候と美しい海、豊かな自然が愛されて、三浦半島の海岸沿い、特に逗子や葉山近辺には古くから別荘が点在し、またその生活環境に惹かれて移り住んだ人々の家も数多く立ち並ぶ。その環境のよさは御用邸があることや、かの源頼朝の別荘跡も残ることでも伺い知ることが出来るだろう。

三浦半島

半島は南に細長く突き出ているので、東側に朝日、西側に夕日の素敵なスポットが散在する。日本で最初に建てられた洋式灯台「観音崎灯台」のある観音崎(浦賀駅からバス「観音崎」下車)、野島公園(金沢シーサイドライン野島公園駅から徒歩5分)、馬堀海岸(馬堀海岸駅から徒歩7分)、城ヶ島(三崎口駅から城ヶ島行バス終点下車)、北下浦海岸(YRP野比駅、京急長沢駅、津久井浜駅から徒歩5~10分)、森戸海岸、野比海岸、剱崎(三浦海岸駅から三崎港行バス「剱崎」下車、徒歩20分)、ソレイユの丘、荒崎、真名瀬漁港、長者ヶ崎など。房総半島越しの朝日、相模湾越しに富士山と共に見る夕日、それぞれ心に残る風景を見ることができるのが三浦半島だ。

三浦半島
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三崎港はそんな三浦半島の南端に位置する港。マグロ好きの間では知らぬもののないとまで言われる三崎港にマグロを食べに行こう。

三崎港

遠洋マグロ漁業の基地として全国にその名が知れ渡る三崎港の歴史は享保12(1727)年にさかのぼる。記録によると当時は砂浜であった今の三崎港バス停周辺で、初めて魚の競りが行なわれた。その後、大正11(1922)年に港の建設が始まり、大正15年からは県の主導で整備が進められた。平成13(2001)年7月には魚市場の跡に産直施設「うらり」もオープン。まぐろをはじめとした海の幸と近隣で取れた野菜などが並ぶ。休日には、県内県外から多くの人々が訪れ、周辺の駐車場が満杯になるほどの賑わいを見せている。

三浦半島
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三崎港周辺にはマグロの専門店や朝獲れの海鮮を出すお店が数多く立ち並ぶ。また三浦半島は全海岸が黒鯛釣り場といっても過言ではないほど良釣場として有名で、三崎周辺にも数多くの地磯ポイントがある。主に釣れる魚は、黒鯛、カレイ、アイナメ、シロギス、メバル、鯵、鰯、シマイサギ、カサゴ、ウミタナゴ、メジナ、ベラ、ハゼ、マダイ、フッコ、アオリイカなど。

まぐろ料理 まぐろ寿司

三浦半島

三崎港そばの駐車場に車を止めて、表通りの有名な店をやり過ごし、一本中に入った道に歩を進めてみる。裏道といえども由緒正しい気配漂う店が何軒か並び、古い木造の家も建つ、道幅2.5メートルほどであろうか、雰囲気のある通りである。どこも美味しそうな店構えだが、その中でも一際目を引く店に入ってみた。ガラスの嵌った白木の引き戸に、ピンクの花をあしらった素敵な暖簾のかかる店だ。グループの予約でも入っているのだろう、スタッフが忙しそうに立ち働いていて、カウンターに立てかけられた看板も「準備中」となっていた。が、駄目元で「何時からですか?」と問いかけてみると、「どうぞどうぞ」と快く招き入れてくれた。

三浦半島

よく磨かれた気持ちのよいカウンター、明るい店内。まだ比較的新しいのだろうか、外の天気の爽やかさとあいまって店内には心地よい気が流れていた。品書きを見、三色丼とまぐろの握りセットを注文。程なくして、酒盗が運ばれてきた。箸先に取って味わってみる。「ううむ。」日本酒の飲みたくなる絶妙な味わいだ。

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しかし、車で来ている以上飲むわけにはいかない。「日本酒飲みたい」と駄々をこねる「酒ヲトッテモ欲スル中枢」をどうにかこうにか宥めすかし、お茶を飲みながらしばし待つ。目の前のまな板には、「かぶと焼き」になるのだろうか、マグロの頭が幾つか乗っていた。目玉に含まれるDHAが頭に効くと一時期巷で話題になっていたが、身体に良いという以前に一度味わったら忘れられないその味の深さ。数年前に、河原で一斗缶に放り込んで蒸し焼きにして醤油をたらして食べた感動的なまでに鮮烈で滋味のある味が甦ってきた。

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そんな記憶に、涙腺ならぬ涎腺の蛇口が全開になった頃、三色丼と握りが「お待たせいたしました。」という言葉と共に目の前に運ばれてきた。決して押し付けがましくはない柔らかな笑顔だ。「すみません。どたばたしてまして。」

「いえいえ、大丈夫ですよ。」とこちらも少々恐縮しながら受け答えつつ、心はすでに目の前の品に奪われている。握りの皿に並んだつややかな照りのあるトロに赤身。そして三色丼の見目麗しいネギトロ。清楚な美女がその装いを違えて二人出てきたような、大人しくも強烈なアピールである。マグロ好きでこのアピールに抗える人はまずいないだろう。

三浦半島

高揚感を抑えながら、冷静を装い、そ知らぬ顔で、そっと口に運んでみる。瞬間、まぐろ特有の甘みと旨みだけがふわり口の中に広がってゆく。そして、それは体中に旨みを伝えながら喉元を滑り降りてゆく。至福の瞬間だ。頭の中をよぎるのは「なぜ車で来てしまったのだろう・・・。」という思い。お茶も決して悪くはない。美味しい寿司に美味しいお茶。それはそれで素晴らしい組み合わせだ。悪くはないのだ。しかし。やっぱり。美味しい魚には、美味しい日本酒なのだ。外に太陽の香りを含んだ爽やかな風が吹いていようと、日光がきらきら輝いていようとそんなことは関係ないのだ。

お酒を飲めない状態に悶絶しながらも、舌はしっかりと旨みを味わっていく。魚が好きで、日本酒が好きな人が思いを一つにするであろう瞬間、そんな瞬間の連続が続いてゆく。幸せは春を告げる穏やかな風のようにやってきて、頬を撫でながら軽やかに踊る。それは器が空になり、お腹が満たされるまで続いたのだった。

三浦半島

神奈川県三浦半島三崎港で食するまぐろ。まぐろが好きな方は勿論、まぐろはそれ程好きではないという方も是非一度試してみていただきたい。もしかしたら、目から鱗が落ちるかもしれない。ただし、お酒好きの方はくれぐれも車以外の手段で行くことをおすすめする。もしくは「美味しいまぐろをご馳走するから!」と帰りに運転手になってくれる下戸の知り合いを連れて行くこと。さもないと同じ後悔をすることになるのは間違いなしだ。

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三浦半島へのアクセス

三崎港へは横浜横須賀道路および三浦縦貫道路を使って近くまでダイレクトに行く事も出来るが、お天気の良い日にのんびりと寄り道しながらドライブするのがおすすめだ。三浦観音、毘沙門洞窟など立ち寄りスポットも点在する。時には車を止めて、ゆっくりと花や海などを楽しみたい。三崎港へは電車とバスで訪れる事も勿論出来る。品川や横浜からなら三崎口まで京急を利用して約1時間。京浜急行バスに乗り換え(「三崎港行き」「城ヶ島」など)15分。

JWMおすすめのドライビングルート

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横浜横須賀道路「横須賀IC」から国道16号で観音崎へ。県道209号線、208号線、210号線経由、国道134号線、県道215号線で三浦半島先端右側から回り込んで三崎港へ。城ヶ島に立ち寄るのもいい。港近辺で食事をしたら、国道134号線で半島の西側を北上して葉山方面へ。半島西側には、ソレイユの丘、佐島公園、長者ヶ崎など名だたる夕日の名所があるので、時計と相談しながら海に沈む夕日を目指そう。天候がよければ富士山を望む事も出来る。走行距離は約60キロ。途中、半島先端部を周らずに港へショートカットをすると50キロほどだ。

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三浦半島の桜

三浦半島

三浦半島、特に三崎口駅から三崎港にかけてのエリアに早咲きで有名な河津桜が植えられており、一足早い春を愉しむ事が出来る。開花は年によっても違うが、早ければ2月の上旬。問い合わせは三浦市観光協会(神奈川県三浦市南下浦上宮田1450-4 TEL:046-888-0588/時間:9:00~17:30(年末年始休業))へ。

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