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松前城

松前城

雪の松前城

北海道南端の都市、函館から西へおよそ100キロ、渡島半島の先端にある町「松前」。かつて北前船の寄港地として栄え、にしんや鮭、昆布を始めとした北海道の海産物が江戸や京都へと運ばれる運送物流の中心地となっていたところである。その松前の町の中心にある城が「松前城」だ。

松前城は桜の名所として有名で、桜の咲く時期には、「満開の桜とお城」という絵の様に美しい風景を求めて多くの観光客が訪れる。それに引き換え、冬は訪れる人も少なく比較的ひっそりとしているのだが、しかし、それこそが冬の松前城の魅力なのだ。「静けさ」そのものを絵にしたような、しっとりとした佇まい。城壁や天守、そして春はまだかと裸のまま寒さに耐えながら海風浴びてもじっと立つ木々が、雪にすっぽりと包まれている様は実に静謐で美しい。カラフルで鮮やかな色の無い代わりに、モノトーンの落ち着いた静けさに満ちた美。薄暮の中に幻想的な姿を見せる夕方から夜にかけての雪を抱いた松前城も見逃せない。

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松前城
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松前城

吹雪く雲間に津軽海峡を望む

別名「福山城」と呼ばれる松前城は、天守があった最北の城であり、国内最後に築城された日本式の城郭を持つ城でもある。北方警備の必要性を重視した幕府の命により、松前城の前身である福山館を改築増強して1854(安政元)年に完成した。本丸、二の丸、三の丸と天守を持ち、完成までに6年、15万両を要したが、完成からわずか14年後に勃発した箱館戦争により三分の二を焼失、さらに市街地で起きた火事が飛び火、1949年に天守を焼失する。現在の天守は1959年(昭和34年)から1961年(昭和36年)にかけて、鉄筋コンクリート造で再建されたものだ。松前城資料館として利用されている。

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