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福井の水ようかん 福井の冬の風物詩

福井の水ようかん

水ようかんは夏の和菓子?

冷蔵庫が当たり前の現代、(一部地域を除いて)全国的には「夏の和菓子」のイメージの強い水ようかん。濃厚でねっとりとしたいわゆる普通の「ようかん」とは異なり、軽やかでつるんとした食感と喉越しで、文字通り「水」のような滑らかさを持った「水ようかん」は、暑い夏にひと時の涼を与えてくれる「夏の和菓子」、そう思っている方も少なくないだろう。

実際、夏の暑さが次第に本気モードに入ってくる6月~7月頃になると、和菓子屋さんの前に水色系の涼やかな文字と写真をあしらった幟や旗が風に揺られているのを見る事も多くなり、スーパーマーケットなどで「夏のおすすめ商品」の一つとして、陳列されている様子を見る機会も多くなる。こしあんに、寒天と水と砂糖と塩等を加えて作られ、冷蔵庫で冷やされた「水ようかん」は、暑い夏に食べてこそ、その真価と本領を発揮する、そんな和菓子であるに違いない。

ところが、実は「水ようかん」は、本来は冬の和菓子である、ということをご存じだろうか。「羊羹」そのものの歴史は長く、室町時代には今でいう「蒸し羊羹」のような食べ物があったと南北朝時代末期から室町時代に編纂された「庭訓往来(ていきんおうらい)」という書物に記されている。

戦国時代~江戸時代初期に「煉羊羹(練り羊羹)」が製造されるようになり、さらに時を経て寒天を少なくして水分を多くした「水ようかん」が作られるようになった。

糖分が多く保存性が高い「煉り羊羹」と比べると、水分が多いこともあって、この「水ようかん」は日持ちがせず、冷蔵庫の無かった時代にはもっぱら冬の寒い時期のお菓子、特にお節料理・正月料理の一つ、「料理菓子」として作られ、飾られ、食べられていた、という歴史があるのだ。

しかし、戦後になって冷蔵庫がお店や企業のみならず、一般家庭へも普及するようになると、暑い時期に食べやすく見た目も涼しげな「水ようかん」は夏にも出回るようになり、いつしか「水ようかん=夏の和菓子」というイメージを持つ人が多くなるほどに、夏でも当たり前の和菓子となった。

とはいえ、今でも伝統的に冬にこそ「水ようかん」を食している地域がいくつかある。伝統を重んじる地域として別格の京都をはじめ、石川や山形、栃木などがそうだ。

そして今回ご紹介する福井も「水ようかん」を冬に食する地域として知られている。

福井の冬の風物詩

冬場に福井に訪れるとわかるのだが、スーパーマーケットやコンビニなどで「水ようかん」が陳列されて売られているのに気づく。それも一つや二つではない。大きなスーパーマーケットなどになると、幾種類もの、それも中々に大きなサイズの水ようかんが山のように売られているのだ。

何も前情報を持っていないと、「すごい種類の水ようかん!福井の人は水ようかんがそんなに好きなのかな?」と驚くのだが、果たしてその通り。福井の知人に尋ねると、福井の人々にとっては「水ようかん」は冬場に欠かせないお菓子であり、こたつの中に入って、またはストーブにあたってぬくぬくとしながら、その冷たさと美味しさを楽しむ和菓子。福井の人々にとっては「水ようかん」=「冬の風物詩」なのである。あまりに当たり前すぎて、県外の人に尋ねられても逆に怪訝に思う程なのだそうだ。「冬に美味しい水ようかんを食べないの??」と。

幾種類もある福井の水ようかんの中でも、特に知られているのが昭和12年からの歴史を持ち福井県内で約7割のシェアをほこる「えがわの水羊かん」。もちろん、出身地域などにより人それぞれ好みはあるのだそうだが、福井の人で「水ようかん」と聞くとこの「えがわの水羊かん」を思い浮かべる人も多いのだそうだ。

そんな「えがわの水羊かん」を早速頂いてみよう。

えがわの水羊かん

えがわの水羊かん

水ようかんというと、ゼリーみたいなプラスチックや、竹の容器などに入っているものを思い浮かべる人もいるかもしれないが、えがわの水羊かんは、お弁当箱ほどの大きさの箱にどんっと大きなサイズのものが入っている。それをお好みで各自切り分けて食べるのだが、この時点でなぜだかテンションが少し上がってしまう。自分で切り分ける、という作業が楽しいせいもあるかもしれない。そうして切り分けたものをお皿にのせて頂いてみた。

えがわの水羊かん

まず一口食べて驚くのがそのさっぱりとした味わいだ。黒砂糖の豊かな風味が鼻の中を抜けていく。それが小豆の味と混じり合って、つるん、と喉の奥に消えていく。気持ちいいくらいの軽やかなのど越し。この「えがわの羊かん」、原材料は寒天、黒砂糖、ざらめ糖にこしあんと、防腐剤は勿論、余計な混ぜ物は一切していないということで、その分賞味期限も短く、まさに刺身のような生もの感覚なのだ。

「こんなに沢山食べられるかな」と思っていたのもつかの間、あっというまに二切れがお腹の中に消えていった。勿論、福井の人達の真似をして、(コタツこそないが)外はとても寒い冬の日に暖かな部屋の中で食べたのだが、寒い冬に暖かな部屋で冷たいものを食べる、この何とも言えない幸せ。「寒い季節に部屋を暖かくして冷たいものを食べる」だなんて、昔の人が聞いたら「なんと贅沢な」と思われそうだが、その贅沢感も込みで、幸せな時間が流れるのだ。

えがわの水羊かん

本来ならば、福井まで足を運んで、その土地の空気感などと一緒に味わうのがベストだが、ウェブサイトから購入することも可能なので、興味を持たれた方は是非一度試してみてはいかがだろう。

関連リンク:えがわ ホームページ

JAPAN WEB MAGAZINE HikoZa

温泉と海と甘いものと辛い物を好みます。映画は年に100本ほど。

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