日本の自然

オカヤドカリ

オカヤドカリ

ムラサキオカヤドカリ

不意の訪問者

砂浜の片隅にある岩の上に腰掛けて、薄闇の中、一人美しい夕暮れの余韻にぼんやり浸っていると、突然ガサガサっと後ろで音がする。背後はわさわさと緑が生い茂る藪しかない。少し驚いて振り向くと、そこには大きな大きなハサミをもったオカヤドカリがいた。ヤシガニと比べたら、それほど大きいわけではないが、筋骨隆々?なハサミと足がすごい迫力だ。そのハサミと足は攻撃と防御に備えるかのように正面に向けて揃えてあり、長い触角は前に向かってピンと伸びている。そして、触覚の奥にはじっとこちらを見つめている二つの目がぎらりと光っている。その後ろには、年季の入った貝殻。ハサミと足の形状と大きさは威圧感があるが、よく見ればなんとなくユーモラスで可愛らしい。そう思うと、ぎらりとしていた目まで、二つのつぶらな瞳に見えてくる。間合いを図りつつこちらの出方を伺っていたのか、それとも単にこちらに興味があったのか、しばらく固まってこちらを見つめたままじっとしていたが、やがて何事もなかったかのようにガサゴソと動き出し、闇の中に消えていった。

オカヤドカリ

Memo

オカヤドカリはその名前の通り陸に住むヤドカリで、幼生期は一時的に海に住むもののそれ以降は陸上を動き回って生活をするヤドカリ。中には、海に入ると溺れてしまうという種類もいる。沖縄に多く見られ、沖縄には6種類(オカヤドカリ、ナキオカヤドカリ、オオナキオカヤドカリ、ムラサキオカヤドカリ、コムラサキオカヤドカリ)が生息、日本ではそのほか小笠原諸島、九州南部の薩南諸島、四国南部、そして紀伊半島南部に生息する。八重山地方ではアマン、アマム、アマンツァ、アーマン、アマンブ、アーミンチャー、アマンザ、といった地域ごとに少しずつ異なる呼び名を持つ。

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Japan Web Magazine 編集部

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