片貝まつり浅原神社秋季例大祭奉納大煙火
公開日: 2008年9月1日 | 最終更新日 2015年6月24日
山にこだまする音そして花火の風をあびる
新潟県小千谷市 「片貝まつり浅原神社秋季例大祭奉納大煙火」
錦鯉の養殖や、へぎそばで有名な新潟県小千谷市。縮布でも名を馳せるこの町に世界的なものが一つある。それは市北部に位置する町、片貝で行われる花火だ。
正式には「片貝まつり浅原神社秋季例大祭大煙火」と呼ばれるこれは、文字通り浅原神社に奉納するという形式をとって打ち上げられる奉納花火。ではその花火の何が世界的なのかというと、打ち上げられるその玉の大きさなのである。都心部では密集する建造物やごったがえす人への安全のためにいつしか玉のサイズは縮小され、尺玉でさえ打ち上げられることも殆どなくなった昨今、片貝ではなんと世界一の大きさを誇る4尺玉が打ち上げられるのである。一尺はおよそ30センチなので、その直径はなんと約120センチ。重さは実に400キロ以上になるという。この巨大な玉が800メートル上空に打ち上げられ、直径800メートルの花を夜空に咲かせるのだ。
この片貝の花火の玉がここまで大きくなったのには一つに、隣の町、これまた花火で有名な長岡と打ち上げる花火の玉の大きさを競った、という理由がある。片貝では明治24年に三尺玉4発の打ち上げに成功した。この後、昭和57年にさらに大きな三尺三寸の打ち上げに成功したが、同じ三尺玉で世界一を競っていた長岡が翌年に三尺五寸の打ち上げに成功したのだ。これによって、玉の大きさを争う競争に拍車がかかったのだが、結局は安全面の問題もあり、先に4尺玉の打ち上げに成功した片貝に軍配があがったというわけだ。ちなみに、この四尺玉を打ち上げる為の打ち上げ筒も並大抵の大きさではなく、長さ5.2メートル、厚さは1.8センチ、重さは4.5トンもある。鋼鉄製で、地中に埋め込まれ、使用される。
四尺玉の打ち上げが目玉であることには間違いは無いのだが、この片貝の花火の見所は実は他にある。打ち上げ時に耳を済ませてスピーカーから流れてくる放送を聞いているとわかるのだが、他の花火大会との大きな違い、それはこの花火のスポンサーが片貝の町の町民を主とした個人や団体であるということなのだ。まさにこの花火の本来の目的である「奉納」という性質をよくあらわしているのだが、各人、各団体がそれぞれ「長寿祈願」「家内安全」「祝結婚」「祝還暦」「祝成人」「初孫誕生」「先祖供養」などなど、それぞれの願いと感謝をこめて花火を奉納するのである。
それゆえに、その場にいて放送を聴きそして打ち上げられた花火を見ると、心温まる思いがしたり微笑ましく思ったりと、何かこうとても朗らかで心地よい気分になるのである。
「~くん、おめでとう」とか「あなたいつもありがとう。私たちもいつのまにか年をとりましたね。これからもよろしくお願いします。」
などという言葉が読み上げられるのを聞き、その後に打ち上げられる夜空にきらめく華やかな火花や星球の流れ行くさまをぼんやり見ていることが、実に素敵なのである。
その他、尺玉の連発も圧巻の一言につきる。あまりの迫力と連発の数の多さに圧倒され、思わず知らず笑ってしまうくらいにすごいのだ。空が割れ、その空の欠片が落ちてくるのではないかと思うほどの迫力と美しさに、ただただ魅了される。
片貝の花火を特徴付けるもう一つに、打ち上げの場所が、通常は火災などを考慮して川や海、湖であるのに対して、山の中(丘)というのがある。
これまた、奉納花火という特徴ゆえでもあるのであろうが、そんなわけで、人々は山あいに建つ神社のすぐ脇の傾斜した有料(奉納料)観覧場所や近くの学校の
校庭などに陣取り、すぐそばで打ち上げられる花火を鑑賞するのである。
水のある場所は一般的に開けている。よって、音がそこまで反響するということはない。せいぜい近くのビルや高速道路に多少反響する程度であろう。ところが、山の中で花火が打ちあがるとどうなるか。反響音がものすごいのである。全身にずしっと来る様な反響音が打ち上げとほぼ同時に鳴り響く。お腹にずん、と来る感覚だ。これは尺玉はもちろんの事、6号7号くらいの花火でも感じられる。ましてや三尺、四尺という大きさになると地面が揺らぐような大反響音が鳴り響くのである。爆風もすごい。普段の花火大会ではあまり感じることのない強列な風というか衝撃波のようなものが空中を伝わってくるのである。
都会の花火大会では決して味わうことの出来ないほっとするようなのんびりとしたリズムや雰囲気、そして一度エンジンがかかると、声を失うような力をもってして迫り来るその躍動感。この緩急自在な情感の連続が片貝の抗いようのない魅力なのだ。
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片貝まつり浅原神社秋季例大祭奉納大煙火 DATA
- 場所:新潟県小千谷市片貝町浅原神社境内、神社脇
- 交通(公共交通機関で): JR小千谷駅からバス約30分「片貝二之町」下車徒歩約5分
JR長岡駅からバス約30分「片貝二之町」下車徒歩約5分 - 交通(車で): 関越道長岡ICから臨時駐車場まで約30分
関越道小千谷ICから臨時駐車場まで約15分 - 開催日:9月9日、10日
- 荒天の場合9月11日に延期
- 打ち上げ数:15000発 (2日間)
- 人出約20万人
- 時間:19:30~22:20
- 駐車場: 無料駐車場2500台・有料駐車場700台
- 交通規制: あり/10~24時位、片見町内一部
- 問い合わせ: 片貝煙火協会 0258-84-3900 小千谷市商工観光課 0258-83-3512
- HP: 公式サイト
片貝まつり浅原神社秋季例大祭奉納大煙火
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