雪の海野宿
中山道と北陸道を結ぶ北国街道にあって、江戸時代の旅籠屋造りや茅葺き屋根の建物と、明治以降に建てられた頑丈な蚕室造りの建物とが混在しながら、約6町(約650 m)に渡り、今も伝統的な家並みが残されている海野宿。
普段は観光客で賑わう場所だが、この日はあいにくの大雪で、人っ子一人いない状況だった。このあたりは、信州の中ではそれほど雪が多いエリアではないが、発達した低気圧がもたらした雪が朝から降り続き、家も道も覆われて、さながら雪国の様相を呈している。水分を含んだ重い雪が、さらさらと音を立てながら、後から後から降り積もる。日本家屋に降る雪は、どうしてこれほどまでに美しく見えるのだろう。寒ささえどうにかなれば、延々と眺めていたいほどに、それは清らかで美しい。