東福寺のお地蔵さん
埼玉県所沢市、JR武蔵野線の東所沢駅から歩いて約12分、広々とした敷地にゆったりと建てられた住宅が立ち並ぶ一画に、真言宗豊山派の寺院・東福寺がある。周辺からならほぼどこからでも見える、巨大で真っ白な観音像「守護観音」が本殿を見下ろすように立っているのが目につくが、近くを訪れたらぜひ足を運んでもらいたいのが、東福寺の山門前に庚申塔や馬頭観音などと共にならんでいるお地蔵様。
両側の二体は、顔にヒビもはいってしまっており、真ん中のお地蔵様もなにやらマジックで目や鼻が書かれているようにも見えるのだが、なんとはなしに穏やかで柔らかい雰囲気に包まれているのだ。
紫外線や風雨によって色がすすけてしまった帽子や前掛けも、打ち捨てられ忘れられているという感じにはならず、むしろ、静けさにソフトな色を加えるような、不思議な優しさに見える。御利益とか、お願いとかそんなものを超越した、そこにいるだけで心が穏やかになるような、そんなお地蔵様なのだ。