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世界に二ヶ所しかない不思議で希少な川 塩川

塩川

一般的に多くの人は「湧水」と聞くと、冷たくて美味しい「水」をイメージするのではないだろうか。山を歩いている時に見かける涼やかな「湧水」。「名水百選」などにも選ばれるような地域の人々に大切に利用されている「湧水」。町の中を流れる清らかな「湧水」。いずれにしても、基本的な大前提として、「湧水」=「淡水」という概念があると思う。もし、湧水が塩水だったら、どうだろう。

そんな塩水が湧き出している川が、沖縄県の本部町にある。その名も「塩川」。世界でもプエルトリコとここにしかないという、塩水が湧出し、流れる珍しい川だ。

海岸線から約150メートル、国道449号線から入ってすぐの場所に塩川はある。幅は約4メートル、全長300メートルの小さな川だ。国内唯一の塩分濃度の高い川として、1972年(昭和47年)5月15日の沖縄返還当日に国の天然記念物に指定されており、このことからも、塩水の湧き出るという川がいかに珍しいかがわかるだろう。

海岸線に近いことから、海の水が混じりこんでいるのではないか、とも思うがそうではない。海抜も1.29~1.42メートルと、わずかではあるが海よりも高く、いわゆる河口部の汽水域(海と川の水が混じり合った場所)というわけではないのだ。毎秒100リットルを超えるという湧水そのものに塩分が含まれており、塩分濃度こそ海水には及ばないものの、なめるとしょっぱい水が川となって流れているのである。この塩水が湧き出す仕組みについてはまだ正確なことは分かっておらず、岩塩層説、サイフォン説、地下空洞説など様々な推測がなされているが、いずれも確定的ではないとか。

地元の人には「スガ-」と呼ばれるこの塩川は、本部周辺では、轟の滝や喜如嘉の七滝と並んで、「パワースポット」「ヒーリングスポット」としても知られている。その方面に詳しい人によると、「塩」には浄化作用があるとのことで、その塩を含んだ水がこんこんと湧き出しているこの場所は、良い「気」が満ちているのだとか。パワースポットかどうかは訪れる方それぞれの判断にお任せするとしても、確かに鬱蒼とした中に、清らかな水がさらさらと流れる光景はとても気持ちのいいもので、良い雰囲気が充満しているような気はするのだ。

国道のすぐ脇とアクセスは容易。美ら海水族館や今帰仁城跡、瀬底島など、周辺の有名観光スポットからも近いので、「塩水」の不思議な川、または、「パワースポット・ヒーリングスポット」として興味がある方は、立ち寄ってみてはいかがだろう。

撮影場所

Japan Web Magazine 編集部

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