御座石神社

御座石神社

寒風吹きすさび、雪が舞う2月の田沢湖畔。日本で一番深い湖であり、抜群の透明度を誇る田沢湖は、その深さゆえに真冬でも凍りつくことはない。春から秋にかけては、その豊かな自然環境を求めて観光客がやってくるが、真冬は地元の人以外通り過ぎる車もあまりなく、ひっそりとしている。冬の日本海に通じる荒々しさと、内陸部ならではのクローズドな包容感が同居して、ある種独特の雰囲気を作り出している。

その感じは真冬の十和田湖や支笏湖などにも通じるが、そのサイズ感ゆえか周囲に点在する雪に覆われた集落ゆえか、奥ゆかしさの中に冷たく迸る情熱とでもいうような、無性に惹きつけられる美しき誘惑が漂っている。暖房の効いた温かな部屋にいても、その写真や映像を目にしただけで、一気に感覚をもっていかれるような、脳の奥深くに刻み込まれるような空気感だ。

そんな田沢湖畔には、永遠の美しさを願った結果、龍になってしまったという辰子の伝説で知られる「辰子の像」がある。老いて自分の美しさが衰えていくのを嘆き、永遠の美しさを願った結果、龍に姿を変えてしまったという辰子は、金色に光り輝きながら、湖のほとりに立っている。

田沢湖

その「辰子の像」から見てちょうど湖を挟んだ反対側、田沢湖の北岸に鎮座するのが、御座石神社だ。

御座石神社(ござのいしじんじゃ)というあまり耳にしないその社名は、1650年(慶安3年)、時の秋田藩主・佐竹義隆公が田沢湖を訪れた際、湖畔にあった石に腰かけて休んだことに由来する。白色と灰色が銀色が支配する真冬の田沢湖にあって、非常に目を引く朱塗りの鳥居が湖畔に立ち、そのそばには、1本の木から7種類の木が生えたという「七色木なないろぎ」や、辰子が美を願って口にし、龍になったといわれる「潟頭の霊泉」、辰子が自身の姿を映し見たという「鏡石」などがある。真冬は参道や社殿は降り積もった雪に覆われているが、境内はこじんまりとしていながらも、目の前にある田沢湖の美しさとあいまって、清らかな美しさを放っている。

田沢湖は、その方面の噂によれば、「パワースポット」とされる場所が点在するらしいが、この御座石神社は、特に強力な場所らしい。田沢湖の美しさと、その深さから立ち上る神秘的な雰囲気は、辰子伝説を、ただの「伝説」として片づけられないような空気を作り出しており、ここが「パワースポット」とされるのも頷けてしまうような、強力ななにかが充満しているような気もしてしまう。

御座石神社は、龍神に姿を変えた辰子を神とする龍湖姫神(たつこひめのかみ)を主祭神として祀っており、訪れる人々は、辰子の美にあやかり、御利益とされる美貌成就・不老長寿を願う。美人はより美人に、そうでない人も美人になるらしい。そのほか、恋愛成就、縁結び、家内安全、交通安全、厄除け、商売繁盛などに御利益があるとされる。

ちなみに、辰子が自身の姿を映したといわれる鏡石から100メートルほど、神社から数分行った場所に、「願い橋」と呼ばれる木の橋があり、こちらで願掛けをすると高い確率で願いがかなうとか。雪のない季節に御座石神社を訪れる方は、ぜひそちらもチェックしてみてはいかがだろう。

御座石神社雪に覆われる田沢湖の周囲を一周する道路。

御座の石の杉天然記念物の「御座の石の杉」。見上げるほどの巨木。

御座石神社御座石神社の本殿。

御座石神社御座石神社の鳥居。赤と白のコントラストは遠くからも目を引く。

御座石神社

御座石神社

御座石神社

御座石神社

御座石神社晴れた日の御座石神社の鳥居。

御座石神社

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