うりぼう
瀬戸内海に浮かぶ淡路島の中ほど東側にある洲本城は、標高133メートルの三熊山に築かれた城。標高はそれほどでもないが、海に比較的近いこともあって展望がよく、天守台からは洲本の町並みや大阪湾などが一望できる。木々が生い茂る自然豊かな中、本丸大石段、虎口、櫓台跡などが残っており、戦国から江戸時代にかけての山城の雰囲気を堪能することができる場所だ。
そんな洲本城の遺構と洲本城からの風景を見た後、天守台から徒歩5分の所にある駐車場から車に乗り込んで、ふと窓の外を見ると、30メートルほど先に一頭のうりぼうが佇んでいるのが目に入った。洲本城に実際に足を運んだことがある方ならご存知だとは思うが、駐車場の周りといえどもそこは山の上、周囲は緑豊かで、いのししの一頭や二頭がひょっこり顔を出しても不思議ではないくらいの自然環境ではあるのだが、それでもうりぼうが一頭だけちょこんと佇んでいるのは、些かびっくりしたのだった。
親や兄弟とはぐれてしまったのだろうか、それとも一人で遊びに来たのだろうか。どことなく不安げにも見えるその表情はなんともかわいらしい。人間もそうだが、動物の赤ちゃん(こども)は、どうしてこんなにも可愛らしいのだろう。「赤ちゃんは、自分で出来ることはまだ限られていて、面倒を見てもらえないと死んでしまうので、かわいらしい外見を持つことによって、周りの大人の母性をくすぐり、面倒を見てもらうようにしている」という話を聞いたことがあるが、動物の赤ちゃんもそうなのだろうか。うりぼうの親も、我が子を見て「なんと、かわいいっ!」と思ったりするのかな??
そんなことを考えていたら、うりぼうは、とことことまた木々の中に歩いていった。無事、親や兄弟と会えただろうか。お城の麓で、仲良く暮らすうりぼう一家を想像したら、思わず笑みがこぼれたのであった。
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