クッチャロ湖

クッチャロ湖

白鳥の湖

あれは10年程前の事だろうか。ある時、仲間うちで旅行に行こうという話になった。始めは数人だったのだが、気がつけば人数は膨れ上がり、車数台で行く事に。宿は同行の一人がインターネットで見つけて予約をしてくれた。さして大きな宿ではなく、普通の宿だという。当日、途中あちこち寄り道しながら、チェックインにちょうど良い時間に宿に到着した。旅行シーズンではなかったのも幸いしてか、宿は貸切。一番広い部屋を用意してくれたという。部屋に通されて驚いた。そこはまるでお寺かどこかのような大広間。外観からは予想もしていなかった数十畳はあろうかという大きな部屋にさらにもう一つの部屋が続いている。いくらこちらが大人数(といっても十人前後だったが)とはいえ、あまりにも広い贅沢な空間。皆、驚きと喜びの混じった笑顔だ。始めのうちは伸び伸び広々と使っていた。食事時もテーブルが幾つもずらりと並び、まるで祝い事か何かのよう。しかし、テーブルが下げられ、次の間に布団が敷かれ、酒を飲んだり、トランプをしたりしている時に誰かがふと気がついた。数十畳の大部屋が二つ自由に使えるにもかかわらず、気がつけば全員が10畳ほどのスペースにこじんまりとまとまっていたのだ。普段、広い部屋というものに縁のなかった一行は、始めは喜んでいたものの、あまりに広すぎて寂しかったのか落ち着かなかったのか、気がつけば大部屋の端っこにかたまって陣取っていた、というわけだ。習性とは恐ろしい。

冬の「クッチャロ湖」の湖畔に佇んだ時、思わずそんな事を思い出してしまった。北海道では礼文島の久種湖に次いで二番目に北に位置するクッチャロ湖は冬には、大部分が凍ってしまう。凍った上に雪が降り積もって、看板が無ければどこからが湖でどこからが岸なのかわからない。しかし、部分的に凍結していない箇所もある。そして、そこにはぎゅうぎゅうわいわいと集まっている鳥達がいた。勿論彼らは広い所に慣れていないわけではなく、仕方なしに集まっているのだろう。でも、目の前に広がる広大な空間の中にあって、まるで温泉に浸かってでもいるかのように、狭い場所にわいのわいのと身を寄せ合っている姿が可愛らしくもなんともユーモラスだったのである。

冬のクッチャロ湖の魅力をフルスクリーンで見る

クッチャロ湖とは

クッチャロ湖は大沼と小沼と呼ばれる二つの湖が連なってなる湖で、面積約16平方キロメートル、外周約27キロメートル、日本では青森県の十三湖に次ぐ22番目の大きさを持つ湖だ。海抜が低く、満潮時にはオホーツク海からの水が一部に流れ込む汽水湖となっている。1989年7月6日には釧路湿原、伊豆沼・内沼に次いで日本で三番目にラムサール条約に登録された自然豊かな湖で、渡り鳥、とくにコハクチョウの飛来地、中継地としても知られている湖だ。

クッチャロ湖には、秋から春にかけて2万羽のコハクチョウが渡ってくる。北極圏からやってきた鳥達は4000キロにも及ぶ旅の途中、クッチャロ湖で羽を休め、本州方面に飛んでいく。そして春先から初夏にかけて、クッチャロ湖を経由して、また故郷へ帰っていくのだ。

クッチャロ湖

凍結してはいるが、右側の真っ白な部分もすべて湖だ。水が凍った上に雪が降り積もって、見た目には平原かなにかのよう。凍結していない、小さな池にも見える部分にコハクチョウをはじめ、ヒドリガモ、オナガガモなどの鳥達がひしめいている。-20度を下回ることもざらにあるこの地において凍らない部分があるのは、オホーツク川と繋がる頓別川の流れがあるから。

最大で約290種を数えるというクッチャロ湖で観察できる野鳥達の中には、天然記念物のオジロワシやオオワシなども。クッチャロ湖はアオサギやウミウからサルハマシギ、ヘラシギ、コヨシキリ、ウグイス、センダイムシクイ、ツツドリ、ノゴマ、ハクセキレイにコムクドリなど季節ごとに様々な種類の鳥を見ることが出来る野鳥の楽園なのだ。また湖畔ではエゾジカやキツネ、時にはアザラシも観察できる。

クッチャロ湖

凍結していない時期のクッチャロ湖

クッチャロ湖
クッチャロ湖

わずかに残った凍結していない部分は越冬組の鳥達で大賑わい。種類の違う鳥達が思い思いの方向を向いて、毛づくろいをしたりまどろんだり。

クッチャロ湖

クッチャロ湖
クッチャロ湖

クッチャロ湖
クッチャロ湖
クッチャロ湖
クッチャロ湖
クッチャロ湖

クッチャロ湖への行き方

クッチャロ湖へはJR音威子府駅から稚内行きの宗谷バスで1時間25分ほど。稚内駅からは約2時間半。一日4便ほど走っている。宗谷バスの詳細はこちらから。

車なら稚内空港から2時間、旭川空港から4時間半ほどだ。名寄から音威子府にかけては豪雪地帯として知られる所。スケジュールには余裕を持ちたい。ちなみにクッチャロ湖と、摩周湖のそばにある屈斜路湖とは音が似ていて混同しやすいので注意。二つの湖は250キロ以上離れているので、ナビで間違って入力すると大変な事になる。

クッチャロ湖
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