島馬(シマンマ)の復活を目指す琉球競馬。戦前までの約300年間行われていた「ンマハラシー」が沖縄こどもの国で開催
公開日: 2015年9月22日 | 最終更新日 2022年10月17日
戦前までの約300年間行われていた「ンマハラシー」が沖縄こどもの国で開催される。
ンマハラシー(琉球競馬)とは、琉球王朝の時代から戦前までの約300年間、沖縄で行われていた競馬のこと。現在の競馬とは異なり、速さのみならず足並みの美しさも競うもの。軍馬としての需要がなかったため、このような優美さを競う競馬が行われていたと言われている。
そんな「ンマハラシー」が、「沖縄こどもの国(沖縄県沖縄市)」で復活。現在、年間3回開催しており、次回は2015年9月27日(日)。その次は2016年1月31日(日)に実施予定。
<開催日程>
ンマハラシー!!
日程:2015年9月27日(日)、2016年1月31日(日)
スタート時間:全日程 13時30分~
会場:沖縄こどもの国 -Okinawa Zoo & Museum 沖縄県沖縄市胡屋5-7-1
URL:http://kozaweb.jp/event/detail.html?&sp=true&id=2549
入場料:大人500円、中高生200円、4歳~小学生100円
【ンマハラシーの歴史】
戦前、沖縄には離島域も含めて150以上の馬場が存在し、アブシバレー(※)を中心とした地域の行事の際に開かれており、出店も合わせて大変な賑わいを見せた。しかし、戦争前になると軍馬として大きく、強く改良していったため、馬と人間の関係は大きく変わってしまい、ンマハラシーも1943年、那覇市首里の平良真地で行われたのを最後に途絶えてしまっている。
※アブシバレー
旧暦4月の吉日に行われる行事で、14日、15日頃に行われることが多い。アブシとは田や畑の畦(あぜ)のことで、バレーは払うの意。畦の雑草を刈り取り、農作物につく害虫を捕らえて、海や川に流し、豊作を祈願する。
【ンマハラシーの競技方法】
ンマハラシーは速さだけではなく、右前脚と右後脚、左前脚と左後を交互に動かす“側対歩”という独特の走り方で、そのリズムや馬の姿勢、人と馬との呼吸など優雅さ、美しさを競う。側対歩は、加速しても上下の揺れが少なく水平に進むことができるため、騎乗者は馬上杯(水を入れた杯)を持ちながら、一滴もこぼさず走り抜けたという。
競技の判定は審判が行い、駆け足など4本の脚すべてが地面を離れたら失格、また全力疾走(ムルカキバイ)すると「ヤマト走り」と笑いものにされた。当時は宮古馬や与那国馬など、沖縄に昔から住んでいる小型の馬を用い、人も馬も思い思いの衣装で着飾ったなか、1対1の対戦方式で行われていた。
「消えた琉球競馬」の著者、梅崎晴光さんは、現代の競馬を速さを競うスピードスケート、ンマハラシーを美しさを競うフィギュアスケートと表現している。このような世界に類を見ない競馬は、「琉球王朝の豊かな精神性を反映したもの」と高く評価されている。
【沖縄の在来馬】
外国の馬と交じることなく、残ってきた日本固有の馬を在来馬という。沖縄の在来馬は小さくて優しい性格が特徴で、ンマハラシーはもちろん、荷物を運んだり、サトウキビを搾る時の手伝いをしたり、人間と仲良く暮らしていた。しかし、戦争や自動車の普及、農業の機械化など、時代と社会が大きく変わったことにより、在来馬も減少している。
現在、残っている日本の在来馬は8品種。そのうちの3種(与那国馬、宮古馬、トカラ馬)が琉球弧に存在する。沖縄こどもの国では、与那国馬を2頭(オス:どぅなん、メス:なびぃ)、済州馬を3頭(オス:ウォーリー、メス:ナナミ、マール)を飼育しているが、平成27年1月25日、どぅなんとなびぃの間に赤ちゃん(オス:なぐに)も誕生した。
2015年5月までに、沖縄こどもの国では計9回のンマハラシーを行ったほか、ンマハラシーを次世代に伝えていくため、こどもたちを対象とした「ンマスクール」もスタートさせている。真の伝統文化復活のため、この取り組みを継続的に行いながら、観光、地域活性化、遺伝資源の保存にもつなげていくことを目標にしている。
【問い合わせ】
公益財団法人沖縄こどもの国
■住所:〒904-0021 沖縄県沖縄市胡屋5-7-1
■電話:098-933-4190
■FAX :098-932-1634
■URL:http://www.kodomo.city.okinawa.okinawa.jp/index.shtml