愛知のうまいもの　「ガマゴリうどん」とは？

公開日: 2019年6月7日 | 最終更新日 2022年10月30日

愛知県南東部に位置する蒲郡市は、人口約8万人ほどの町。愛知県の二つの大きな半島「渥美半島」と「知多半島」に囲まれ外海から守られた地形にあって、温暖な気候と三河湾に面した風光明媚な場所として知られる場所だ。蒲郡温泉、西浦温泉、三谷温泉、形原温泉といった愛知を代表する温泉のほか、テーマパークやリゾート施設なども並ぶ愛知きっての観光地。そんな蒲郡のご当地グルメ、名物うどんとして昨今知名度を上げているのが、今日ご紹介する「ガマゴリうどん」だ。

ガマゴリうどんとは

全国有数のアサリの産地である三河湾に面した蒲郡市だからこそ生まれたご当地うどん、それが「ガマゴリうどん」。三河産のアサリをたっぷりと使うのが特徴のご当地うどんだ。出汁に用いられるアサリのほかに、写真のようにトッピングにもアサリが用いられ、さらにワカメがトッピングされることにより、潮の香りが際立つうどんとなっているのだ。

ガマゴリうどんの発祥

ガマゴリうどんが誕生したのは比較的最近のこと。2012年に、蒲郡市を舞台にした映画「ガマゴリ・ネバーアイランド」が撮影された際に、「炊き出し」として地元の人々が映画のキャストやスタッフの為に、三河産のものを使った料理で、なおかつ温まるものとして作ったのがきっかけという。当初はシンプルなうどんを振る舞う予定が、近隣の漁師が差し入れたアサリとワカメを用いたことや、近くの練り物工場で製造されたカマボコなどを入れることで「三河産のものを使った蒲郡ならではのうどん」となり、その味わいは映画関係者にも喜ばれたとか。地元の人々の「もてなしの心」から生まれた料理が「ガマゴリうどん」というわけ。

濃厚で旨味たっぷりのアサリの香る出汁、細打ちの麺、トッピングのアサリや練り物などが混然一体となって醸し出す味わいは人気を呼び、「第3回全国ご当地うどんサミット2013 in 東近江 グランプリ」をはじめ、「第4回全国まるごとうどんエキスポ2014 in 秋田・湯沢 グランプリ」「第7回全国ご当地うどんサミット2017 in 熊谷 グランプリ」を受賞している。

ガマゴリうどんの定義五箇条

「ごま油、練り物、ニギス、メヒカリ等、蒲郡産のものを一つ用いる」という定義のほか、「原則三河産のアサリを五個以上トッピング」「アサリでしっかり出汁を取る」「原則、醤油味」「具にはワカメをいれる」という五箇条が「ガマゴリうどん」の定義となっている。

ガマゴリうどんの味

一口、出汁を口に含むとクリアな中にもしっかりとしたアサリの旨味を感じる味わいが広がる。すっきりとしていながらも、貝類特有の旨味がたっぷりあって、かといって決してしつこくはなく、とても食べやすい味だ。あさりなどの貝類が好きな方ならもちろん、「ふだんそれほど貝は食べない」というような人も、クセがあまりないので美味しく食べられるのではないだろうか。麺は柔らかめで、讃岐うどんや武蔵野うどんのようなしっかりしたコシはないが、あさりの出汁によくあうちょうどいい食感。これまた、あさりと相性抜群の、トッピングのワカメや蒲鉾のアクセント、天かすがさらにそれを盛り立て、安心感のある美味しさを作りだしている。するすると食べているうちに、気がつけばなくなってしまう、そんなうどんだ。

ガマゴリうどんの提供店

現在、うどん店をはじめ、寿司店や居酒屋、ホテルのレストランなど、蒲郡市内の24か所（※2019年3月）でガマゴリうどんは提供されている。各店舗はそれぞれ「ガマゴリうどんの定義五箇条」を満たしつつ、各店各様の味わいを作りだしており、様々な「ガマゴリうどん」を味わうことができる。ただでさえ消化の良いうどん、トッピングもそれほどしつこいものではないので、2か所、3か所食べ歩くのもわるくない。是非試してみてはいかがだろうか。