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ガタタン

ガタタン

具沢山のあったかご当地グルメ

北海道の玄関口・千歳空港から車でおよそ2時間20分、旭川市と砂川市そして富良野市を点で結んで出来る三角形の中程に位置するのが芦別市だ。約865平方キロという広大な市域のほぼ中央を東南から北西方向に石狩川の支流である空知川が流れ、それに並行するように根室本線が走る。

夕張山地の北部を占めるこの町はかつて炭鉱の町として栄え、最盛期には人口7万人を越える人で賑わった。1960年代に炭鉱が相次いで閉山し、現在の町の人口はおよそ16300人ほどだが、豊かな自然の中、ゆったりと静かに時間が流れる穏やかな場所だ。そんな芦別市は、ファンの人ならばご存知の方も多いであろう、人気俳優・水谷豊と、中華料理の名シェフ・脇屋友詞の出身地でもある。

そしてもう一つ、北海道内陸部のご当地グルメ・郷土料理としてその知名度をあげつつある「ガタタン」の町でもあるのだ。ということで、電車が通り過ぎる時の音のような、可愛らしいニックネームのようなちょっと変わった呼び名の食べ物・ガタタンの魅力を体感しに北海道芦別市へ行ってみよう。

訪れたのはJR根室本線の芦別駅からほど近いお店。寒さに肩をすぼめながら、暖簾をくぐり扉を開け、右脇の席に座った。

まだ夕ご飯には早い時間のためか店は静かだ。温かな店内にほっとしながら、お目当てのガタタンを注文した。メニューを見ると、麺の入ったガタタンラーメンもあるが、より本来の姿を味わってみたかったのでシンプルなガタタンを注文。シンプルな、といいながらもそもそもガタタン初体験。この時点ではガタタンが正確にどんなものかは分かっていない。頭に入っているのは、写真や映像、簡単な説明などから得た「中華風スープ」のような食べ物という情報のみだ。

ガタタンの魅力

ガタタン

待つこと10分程だろうか。美味しそうな湯気をたてる大きな大きな丼が運ばれてきた。感覚的に言うと一般的によく見る丼よりも2~3割位大きいだろうか。その大きな丼にたっぷりと盛られているのが、お待ちかねのガタタン。見た感じは事前の情報通り、具材たっぷりの中華スープといったところだろうか。

スープに卵が溶け込み、その合間に色々な野菜やきのこが垣間見える。ピンク色したナルトが目に鮮やかだ。ホカホカと湯気が出ていて、トロッとした感じ、いただく前からいかにも寒い季節にピッタリの品であることがわかる。

早速一口頂いてみよう。添えられた木の杓子でスープをひと掬い、それをゆっくりと口元に持っていき、フーフーしながら頂く。瞬間、口いっぱいに広がる幸せの温かさ。そして、とろみのあるスープに溶け出した複雑で芳醇な旨みの束。ベースとなる肉系の出汁の旨みに、具材の野菜の旨み、キノコの旨み、そして魚介の旨みが融合してそれらが一体となって、アツアツの「温度」を伴いながら体の中にじんわりと染み込んでいくのがわかる。「空腹は最大の調味料」というが、外が寒い時に身体の中に入って来る「食べ物の温かさ」も、それだけで大きな調味料であるのは間違いない。

豊かな香りを持った旨みが、生命体を安心させる温かさを伴って迫ってくる。これで幸せでない訳がない。ピリッと効いた胡椒の香りもいい。時折揺れる生姜の香りもいい。極上の豆腐を塩のみで頂くような、シンプル極まりない旨みもたまらないが、様々な香りと味が次々に溢れるような楽しい旨みもまたたまらない。とろみがついている為か冷めにくいのもいい。

もう、心も体も無防備だ。ただ目の前にある美味しさを取り込むことに夢中になる。一口。また一口。その美味しさもさることながら、まるで宝探しのように、何種類もの具材を次々に発見する楽しさ。ワクワク感。ナルト、フキ、キクラゲ、シメジ、豚肉、海老、イカ、ホタテ、椎茸、卵、玉ねぎ、人参、キャベツ、白菜・・・。まるで具材のテーマパーク。そのどれもが全体の味に貢献しつつ、それぞれの光を放つ。

フーフー、ハフハフ、もぐもぐ。来た瞬間は食べきれるかと心配したほどの量が入った丼も、ふと我に返った時にはすっかり空となっていた。

というわけで、あらためてガタタンにはどんな食材、具材が入っていたかをご紹介。

ガタタンの登場人物達の一部

ガタタン

ナルト

ガタタン

シメジ

ガタタン

豚肉

ガタタン

海老

ガタタン

イカ

ガタタン

ホタテ

ガタタン

椎茸

ガタタン

キクラゲ

ガタタン

ガタタン

玉ねぎ

ガタタン

キャベツ

ガタタン

白菜

ガタタン

人参

ガタタン

フキ

ガタタン メモ

漢字で「含多湯」と書く「ガタタン」は、中国東北部(旧満州)地域の家庭料理を元に、戦後芦別に引き揚げて来た村井豊後之亮(ぶんごのすけ)さん(故人)が中華料理店「幸楽」(こちらは昭和50年に閉店)で出したのが始まりといわれている。それは、炭鉱の町であった芦別で人気を博し、重労働の後に酒を酌み交わす炭鉱の男達の〆の定番として親しまれたという。ガタタンは、日本を支えた男達のソウルフードでもあったのだ。

特に寒い季節にはピッタリのガタタン。ボリュームもあって具材の種類も豊富、栄養も満点だ。ただ一つ、くれぐれも火傷にはご注意を。美味しさに焦って食べると、お店を出たあとに口の中の皮がめくれる羽目になる。

ガタタンに関する問合わせは、北海道芦別市役所商工観光課観光振興係 電話0124-22-2111 FAX 0124-22-9696まで。北海道芦別市観光情報HPのガタタンのページはこちら

ガタタン 詳細データ

ガタタンの食べられる店

(価格や営業時間、休み等は取材時のデータ。変更になっている可能性もありますのでお店で直接ご確認ください。)

Japan Web Magazine 編集部

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