上空7千メートルから見下ろす富士。傷跡の様なブルドーザー道がくっきりと見える。かつては強力(ごうりき)と呼ばれる人の手によって荷揚げされた品々も、今ではブルドーザーによって富士山頂上や各合にある山小屋へと運ばれる。
冬の早朝の富士山。日が昇るにつれ、雪面部が徐々にピンク色に染まっていく。
都心で冷たい雨が舞った早春、富士山山麓では雪となった。翌日は快晴、雪に包まれた町と富士山を太陽の光が照らしだす。
電車の車窓からふと外を見ると、富士山の上にぽっかりとお月様がでていた。富士に月、なんという素晴らしい組み合わせだろう。験を担ぐ江戸っ子でなくとも、なんだかいいことがありそうな気がしてしまう。
ぐっと冷え込んだ一月の晴天の朝、富士が青空に映える。
夕方の光を浴びて富士にかかった雲が淡く染まる。
ビルの合間から顔を見せる富士山。かつては東京のそこかしこから眺める事ができたという富士山も、高層ビルが立ち並び、見える場所は限られてしまった。しかし、富士山を見るには邪魔になる高層ビルその場所から富士山が見えるという、ちょっと皮肉な現代版富嶽景観・・・文京シビックセンター25階展望室から。
夏場なら早朝には多少顔を出していた富士山も、見る見る間に雲に覆われてしまう事も少なくないが、風が強く湿気のない秋の一日、午後になってもくっきりと富士がその姿を見せていた。
伊豆半島から都心へ帰る道すがら、峠道にさしかかると眼下に夜景が見えた。車を止め、その美しさに目を奪われていると、目に飛び込んできたもの、それは夜空に浮かぶ富士の秀麗な姿だった。
遠目には穏やかに見えても、富士山頂付近の1月の平均気温は零下20度前後。風速15メートル前後の強風が吹き荒れているという。麓でその美しい姿を見ているととても想像がつかないが、目を凝らしてみると巻きあがっている雪煙。その風の強さと寒さが朧気にでも想像できよう。
残照に浮かぶ富士の姿。一つ、また一つ星が瞬き始めた。
気温と湿度が高いので雲ができやすく富士山が綺麗にその姿を見せる日は余りない夏。暑さも終わりに近づいてきたのだろうか、富士川サービスエリアから富士がよく見えた。
よく晴れた晩秋の夕方、西の空に富士のシルエットが浮かび上がる。
田貫湖は静岡県富士宮市にある周囲4キロほどの小さな湖。元々田貫沼と呼ばれていた小さな沼を周辺地域の農業用水を確保するために拡張した人造湖だ。人造とはいえ、豊かな自然に囲まれたこのエリアは美しい景観に恵まれ、釣りやサイクリング、キャンプなどをする場としても人気が高い。同時に美しい富士山が望める場所としても名高く、休日ともなれば多くのカメラマンが湖畔で富士を狙う姿が散見される。
雲海の向こうに、沈んでいく荘厳で神秘的な夕日。何気なく富士山に目を戻すと燃える様な赤色に染まっていた。
風の強さも考えると体感温度は氷点下10度くらいだろうか。雪に閉ざされた夜明け前の山中湖は静寂の音が聞こえるほどにしんと澄み切っていた。
まるで富士山へと続く道の様に真っ直ぐと伸びている道が富士吉田にはある。富士吉田は古くから富士講で栄えた町。通称「富士みち」と呼ばれるその道は、往時には道の両側に富士講で富士山に登る人々の世話をする宿坊が立ち並んだ。今ではその面影はあまりないが、道の中ほどに今でも大きな鳥居が立ち、
富士吉田の火祭りではメインストリートとなる重要な通りだ。写真はその「富士みち」に並行するように作られたバイパス。通称富士見バイパス。
8月上旬からお盆にかけては大渋滞のおきる富士登山道も、9月に入るとめっきり静かになる。7月、8月に比べると天気も崩れやすくなり、八月下旬から九月の上旬で多くの山小屋も閉まってしまうので、登山客が激減するからだ。人の殆ど居ない登山道。砂礫と僅かな下草が生えるのみの、一見荒涼とした風景。寂しさと切なさを孕みながらも、同時にどこかほっとしてしまう。
風にあおられて雪が宙に舞う。独立峰である富士山は風が強い。耐風姿勢を取っていても、風で体が浮きそうになる事もざらにある。
月見草の似合う富士には、鯉のぼりもよく似合う。
改めて地図を見返すと納得するのだが、都心から比べると東京都内といえども奥多摩あたりは直線距離で随分と富士山に近く、当然の様に富士山も大きく見える。何度も見て頭では知っているはずでも、東京西部の山々を登っていてふと姿を見せる富士の大きさと麗容に思わず魅せられてしまうのだ。
雪があるほうがやはりインパクトも大きいが、雪がなくとも富士は富士。上空から見てもその存在は際立っている。
遅い春を迎える富士山麓地域。標高900メートルの場所にある精進湖でも五月になってもまだ桜が咲いていた。
夜明け前から寒さに震えながら湖畔で雲が少しでも晴れるのを待っていると、すーっと静かに白鳥が近づいてきた。水面下では一生懸命足を動かしているのだろうが、それでもやはりそんな事を微塵も感じさせないその優雅さに目を引かれる。
それはもう、ほとんど理想的な、爽やかで涼やかな夏の朝。澄んだ空気の中、お日様が昇ってきた。雪のない富士山。頂上部は雲に隠れながらも、その全体が赤く染まっていった。
神奈川県の三浦半島は伊豆半島と並び、海の向こうに富士を見る事が出来る地として有名で、富士撮影スポットが沢山ある。湿気の少なくなる秋から冬にかけて、天気がよければ美しい富士山のシルエットが望めるのだ。迫力の富士山も魅力だが、海の向こうに浮かぶ富士もまたいい。
最も雪が降り積もる季節は下界なら1月から2月にかけてだが、富士山頂で最も雪が降り積もるのは4月だというのをご存知だろうか。冬の気圧配置が春のそれに移行するに従い、太平洋側の地域では雨が増えるが、最低気温が零下になる富士山頂ではそれは雪となるのだ。下界で春の様相がちらほら伺える3月下旬から4月、富士山頂は積雪期を迎える。
夏にはその全容を見せる事の少ない富士山も秋から冬にかけて、その姿を綺麗に見せる日が多くなる。さずがにこんなところからは見えないだろうとぼんやり考えながら、伊豆半島の山道を走っていると眼前に突如その麗しい姿を現した。
九十九折の登山道。行けども行けども苦しい道は延々と続く。ふと見上げると青空に美しい雲。気持ちいい風が吹きすぎていく。
最盛期を過ぎてはいたが、一面に黄色の絨毯を敷き詰めたような菜の花。富士山とのコントラストが印象的だ。
100キロ離れた江戸の町にも火山灰が降り注ぎ、広い地域に甚大な損害をもたらした宝永大噴火。その噴火で出来たのが、富士山中腹にある宝永火口。山体が大きくえぐられ、ぽっかりと口を開けている。
さわやかな朝日のあたる北アルプス蝶ヶ岳山頂から富士山を望む。直線距離にして140キロ隔てた位置で眺めてもなお一目でそれと判る。
「一日幸福でいたかったら、床屋に行きなさい。」「一週間幸福でいたかったら、結婚しなさい。」「一ヶ月間幸福でいたかったら、良い馬を買いなさい。」「一年幸福でいたかったら、新しい家を建てなさい。」「一生幸福でいたかったら、釣りを覚えなさい。」中国古諺。美しい富士山を眺めながら釣りができたら、それは至高の幸福だろう。