Look beyond the cliche, reach for the real Japan
芳しい香りは鼻腔をくすぐり、艶やかな見た目が脳髄に刺激を送る。鼓膜の奥に、「ごくり」と生唾を飲み込む音が反響する。それは瞬間恥ずかしさを覚えるほどのアドレナリンの放出。刹那形振り構わないほどの惑溺。「ドクンっ」と脈拍が早くなる。手のひらは熱くなり、血液は地球に近いほうへと降りてゆく。それは官能以外の何ものでもない。
鉄板上で手早く焼かれ、シンプルに塩コショウのみで仕上げた五島牛のカルビ。素材がよければ手間と調味は必要最低限でよいという見本みたいなものだ。それは、まさに、「合気道」のように、最小の動きこそ「極上」なのである。
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