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八甲田山

先ほどまで視界を遮っていた厚い雲が突如晴れ透明な美しさが姿をのぞかせた。青空だ。山の天候は変わりやすいのは身を持って知っているはずだが、それにしてもこの変貌振りはどうだろう。風の強さもあいまって体感温度は氷点下15~6度、数メートル先のモンスターのような樹氷を見るのもやっとだった天候が数分のうちにみるみる変化する。美しいものは、隠されているとそのベールを剥がされた時の衝撃で、その美は倍加する。心臓の鼓動が一瞬止まってしまう気さえするのだ。この激しくもはかない美しさの影に悲しいストーリーを持つ八甲田山。199名という世界の山岳史上でも最大最悪の犠牲者を出した20世紀初頭の雪中行軍の碑が馬立場に静かに立つ。自然は人の敵でも味方でもない。きっとただそこにあるだけだ。→八甲田山の詳細