JAPAN WEB MAGAZINE

Look beyond the cliche, reach for the real Japan

辛子蓮根

「辛子蓮根」

旅の醍醐味の一つは、その場所ならではの食べ物を、「出来立ての状態」で頂けることではないだろうか。熊本の名物として名高い辛子蓮根は病弱だった細川家の殿様の為に考案されたといわれている料理で、茹でたレンコンに熊本産の麦味噌と辛子を練り合わせたものをつめ、衣をつけて揚げたもの。通常、土産物なら冷たい状態で食されるのが一般的だが、地元の居酒屋でこの辛子蓮根を注文すると作りたて、揚げたてを持ってきてくれることも少なくないのだ。これが、まさに目から鱗と言うか、衝撃的なのである。まず圧倒的に香りが違う。そして甘みが違う。揚げたてを一口頂くと、冷たい辛子蓮根では味わうことの出来ない、芳醇な香りを纏った温かい蓮根の甘みと中につめられた辛子のつんとした辛味が絶妙なバランスでもって口腔内に広がり鼻腔と喉下にぬけていく鮮烈な感動的衝撃を体験する事が出来るのだ。

All photographs & texts ©TOI/JWM unless otherwise stated. Copyright © Japan web magazine 2012 Japan web magazine.com   All Rights Reserved.