JAPAN WEB MAGAZINE
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兼六園

一月  石川県金沢市

隣県の富山や福井と比べると、日本海側にあってもそれ程雪の積もらない金沢に、夜半過ぎから雪は降り続けた。快晴となった翌日、町はすっぽりと白のベールで覆われていた。兼六園の雪吊りの本領発揮の時である。

石山寺

一月滋賀県

紫式部ゆかりの寺、石山寺は冬の冷たい雨に打たれ、ひっそりと静まり返っていた。冬枯れの風景と雨に濡れた石畳が奥深い美しさをかもし出す。雨が雑念を洗い流してくれたらと一体幾人の人が思ったことだろうと、そんな事を思いつつコツコツと響く自分の足音を聞きながら歩いた。

冬の晴天

一月宮城

珍しく、数日前に降り続いた雪は、景色に薄化粧を加えていた。東北地方といえども、宮城県あたりの太平洋側はそれほど雪は積もらない。日本海から吹いてくる湿った風は、山に当たって乾燥して吹き降ろすのだ。「かかあ天下と空っ風」とは上州の言葉だが、ここいら一帯もそんな空気を含んでいる。

 

釧路

二月 北海道

空気がまるで肌に刺さるように凍てついている。放射冷却現象だろうか。この日の朝の気温は零下10度を下回っていた。それでも内陸部と比べると温かいのだ。川には薄氷が張り、太陽の光をきらきらと反射して輝いていた。

車窓から

一月 富山

先ほどまで降り続いていた雪も止み、透き通るような青空が天に広がった。雪で小さな塵が洗われたのだろうか。空気がどこまでも透明だ。右の方に目をやると、立山連峰が雄々しく聳えている。想念は即座に山の上に飛んで、車内でひとしきり落ち着きを失った。羽が生えていたのなら、すぐさま飛んでゆくだろう。

直江津

十二月新潟

前夜から深々と降りしきる雪は、日が変わって明るくなっても全く止む気配は無かった。それでも当然のように日常は動いていく。雪が景色と音を飲み込んでも、世界はゆっくりと動いていく。そこにシナリオがあるのかないのかは、神のみぞ知る。

皇居

二月 東京

昔の人に話を聞けば、東京はめっきり雪が降らなくなったという。雪が殆ど積もらない土地柄とはいえ、以前はもっと降っていたと。二階から出入りしたこともあったとか。確かに、歴史を紐解けば2.26事件に桜田門外の変など、雪にまつわる事変も少なくない。

比叡山

一月 滋賀・京都

京都や滋賀の町に雪をもたらした低気圧は午前中に移動し、午後になると空は次第に明るくなってきた。北東方向には輝く琵琶湖が見える。平常時でも神聖な雰囲気を漂わせる延暦寺は、雪が積もることによって、一層厳かなる雰囲気に包まれていた。

八甲田山

十二月青森

真冬の八甲田山は、晴天に恵まれることなど珍しい。時折青空が顔を覗かせても、すぐに空は掻き曇ってしまう。時には暴風が地吹雪となり視界を奪う。ロープウェイの建物にびっしりと張り付いた雪が風雪の激しさを物語っていた。

狛犬

十二月 秋田

訪れる人も殆ど居ない雪深い神社で、狛犬が境内を守っていた。頭の上に雪を乗せても、文句一つ言わずに、しっかりと自分の役目を果たしていた。辛くても苦しくても、歯を食いしばってやらなくちゃいけない時がある。誰がそれを知らぬとも。