陸奥湾のホタテ

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陸奥湾 脇野沢に極上ホタテを食べに行く

陸奥湾に面する町「脇野沢」は、他の陸奥湾沿岸部にある町同様、ホタテの生産が盛ん。下北半島と津軽半島に挟まれている陸奥湾には、自然豊かな八甲田山系の山々から流れ出る、ミネラルをたっぷり含んだ川の水が注ぎこむ。この水がホタテの餌となる良質なプランクトンを育てるのだ。さらに、ホタテの生育には欠かせない冷涼な気候と穏やかな海。これらの条件が、脇野沢のホタテを素晴らしいものにしている。

そんな脇野沢の、港のすぐそばにあるマリンハウス脇野沢を訪れた。マリンハウス脇野沢は、地元名産の「焼干しいわし」などの水産物加工品や、クロソイ・カレイなどの活魚の販売を行っている場所。中には、水族館にあるような円柱形の水槽もあり、近海の海に生息する魚介類を観賞できるようになっている。その店内の一画で「活きホタテ」が沢山売られていた。

脇野沢のホタテ

海水で満たされた巨大な生簀の中に、何十枚、何百枚ものホタテが折り重なるようにして入っている。ホタテ好きには夢のような光景だ。その場で食べることもできるというので、二つほどお願いした。

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青森県の人は、ホタテを貝ガラから、さささっと外すことができる人が多いと聞いていたが、ホタテを扱うお店の人はさすがにプロ。手際のよさ、スピード、身を殻に残さずに取る技術。どれをとっても一朝一夕には真似の出来そうにない早業だ。目の前であっという間に殻から外し、貝柱をちょんと縦に切ってくれた。

先端が平たいイチョウ型をした貝剥き用の道具「貝べら」。

さすがによくわかっている。巷ではよく、ホタテの貝柱を横に切って提供している店があるが、貝柱の食感を楽しむなら、(勿論、丸のままがいいが、もし切るならば)、縦に切らなくてはいけないのだ。その方が貝柱の繊維と弾力、食感がいかされ、より美味しく頂くことができる。

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殻から外してくれたホタテを一口食べてみる。

瞬間、口の中一杯になる海の香り。海の味。その美味しいことといったら!

ぷりぷりの食感ははじけるようだ。甘くてとろける極上の味わいが、さざ波のように広がっていく。頭の中で鳴り響くファンファーレ。ああ。生きててよかった!思わず、そんな言葉が口をついて出てしまうほどの幸せ。醤油もわさびも何もつけていないのに、臭みもえぐみも一切ない。いや、むしろ、醤油もわさびもつけていないからこそ、感じられる自然の味。まさに海の恵み、海の命を頂いている。そんな気にさせられる。

ホタテのオスメス ホタテは性転換する?

ところで、ホタテはオスとメスで違いがあることをご存じだろうか。お店で貝柱の刺身だけを頂いていると忘れがちだが、ホタテには、貝柱、ひも、ウロ(中腸腺)の部分のほかにもう一つ、半月状のプリッとしたものがある。これこそがホタテの生殖器で、白いのがオス(精巣)、オレンジ色をしているのがメス(卵巣)なのである。面白いのが、ホタテは生まれてからしばらくは全部がオスということ。その中の何割かが性転換をして雌になる。天然の物だと2年、養殖ホタテの場合、成長の早いものだと1年を過ぎる頃に、オスからメスに性別をかえる個体がいるのだ。さらに興味深いのが、オスともメスともつかない中間色の個体もいるという事実。殻つきのホタテガイを買ってきて、開いてみた時に、生殖器が白色でもオレンジ色でもない色をしていたら、それは性転換の途中のホタテかも??

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オレンジ色をしているメスのホタテ(右上)。

ホタテは全部食べられる?

刺し身以外でも干物や缶詰などにもなる貝柱は当然としても、ホタテのほかの部位はどの部分が食べられるのか、思い悩んだことはないだろうか。結論から言ってしまうと、黒緑色をしたウロ以外は食べられる。ウロも食べられないことはないが、あまりおいしくない上に、ホタテはウロの部分に貝毒をためやすく、ほかにもカドミウムなどの重金属等をため込むので、なるべくなら食べない方がいいだろう。海水温が上がる3月末頃~10月くらいまでは、特に貝毒が発生しやすくなる。真水で洗った上、ウロをきちんと取り除いて食べるのがおすすめだ。

ホタテのヒモの使い方

捌いたヒモは、一つまみの塩をふって揉み、汚れや余計なぬめりを落としてから水洗いして、適当な大きさにカット。酢の物や和え物に使えるほか、濃いめの味付けで煮ると酒の肴になる。

ホタテの栄養

その美味しさのみが注目されて、あまり知られていないが、ホタテは実はとっても栄養豊富な貝。栄養ドリンクのCMでも耳なじみのタウリンを豊富に含むほか、タンパク質、カルシウム、ビタミン、鉄分、亜鉛、うま味成分でもあるアミノ酸、グルタミン酸、コハク酸などを含有している。美味しいのみならず、ホタテを食べると元気にもなってしまう、素晴らしい貝なのだ。

ホタテの甘みの秘密

ホタテを食べた時に感じる甘みは、グリコーゲンと呼ばれる成分。陸奥湾で水揚げされるホタテは特にこのグリコーゲンの含有量で、他地域のものを圧倒しているという。そのほか、旨味成分のグルタミン酸なども甘みのもと。

ホタテの旬

一年を通して出荷されているホタテだが、美味しいホタテの旬はいつだろう?それは、実は、ホタテをどう食べるかによって変わってくる。ホタテの産卵期は、2月~3月にかけて。産卵期を迎えたホタテは、精巣や卵巣が成熟してどんどん大きく立派になる。この時期のホタテは食べごたえがあり、ボイルしたり、煮たり焼いたりして食べるのに最適。一方、栄養をたくさん取りこんで、タンパク質が増え身がしっかりとしてきて、より旨みがこくなるのは5月~7月頃。この時期のホタテは、やっぱり刺身が最高だ。

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ホタテの刺身

ホタテの美味しい食べ方

ホタテの甘み、旨味を存分に堪能するなら、やはり刺身がいいが、基本的にホタテは煮ても焼いても茹でても揚げても美味しい、万能選手。小さいものは味噌汁や吸い物にしたりもする。

おすすめは、青森の郷土料理・貝焼き味噌だ。ホタテの貝殻を使ってホタテの貝柱やヒモをだしで煮込み、そこに味噌と溶き卵を入れる。お店や家庭によっては豆腐を入れたり、ネギを入れたりもするので、お好みで。こってりとした味がホタテの旨味と絡み合う。

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貝焼き味噌
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貝焼き味噌
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ホタテの稚貝の味噌汁
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ホタテのフライ
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ホタテのお吸い物
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ホタテの干貝柱

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