観世音寺

観世音寺

奈良時代から平安時代末期まで、九州一帯を治める行政機関が置かれた太宰府。本州から九州への玄関口であり、大陸との交易などの重要な窓口でもあった場所だ。その大宰府が置かれていた場所から徒歩で約10分ほどの所にある「観世音寺」(かんぜおんじ)は、天智天皇を開基とする天台宗の寺院。創建以来、1300年近く経っている九州でも指折りの古寺の一つだ。

源氏物語にも登場するこのお寺が、80数年の年月をかけて完成したのは746年(天平18年)の事。かつては330メートル四方の境内に、講堂、金堂、五重塔などが点在する大寺院で、境内には、761年(天平宝字5年)に鑑真和上によって戒壇院が設けられ、奈良の東大寺・栃木の下野薬師寺とともに「天下三戒壇」の1つにも数えられるほどであったが、その後台風や火災などにより、主だった建物は失われてしまい、現在は、江戸時代になって再建された金堂を始め、黒田藩主により再建された建物などが建っている。

太宰府というと、太宰府跡と太宰府天満宮を訪れて、この観世音寺をスキップしてしまう人も少なくない為か、境内は比較的人も少なく静かだ。むしろその静けさこそがこの観世音寺を穴場的存在にしている。建物こそ、建て替えられてはいても(といっても3、400年ほどは経っているが)、1300年近くの長きにわたりこの地にあり続けるその存在感は、静かに、しかし大きな安定感を漂わせる。境内をゆっくり歩いているだけで、ふとした瞬間に平安時代にタイムスリップしてしまうのではないかという不思議な高揚感と、どっしりとした重厚感が入り混じる。歴史がある場所特有の雰囲気だ。

国宝の日本最古といわれる梵鐘や、平安時代から鎌倉時代に造られたという重要文化財の像、江戸時代初期建立の金堂や講堂などももちろん見所ではあるが、是非ともゆっくりと境内を散策したり、すーっと大きく息を吸い込んでみてもらいたい、そんな場所だ。

交通アクセスは、西鉄太宰府線の西鉄五条駅(徒歩約12分)または太宰府駅(徒歩約15分)、天神大牟田線の都府楼前駅から徒歩で約19分。バスの場合は、まほろば号で「観世音寺前」バス停下車徒歩すぐ。西鉄バス(400系統)で「筑陽学園前」バス停下車後、北方向へ徒歩で約6分ほど。観世音寺の西南隅にある、かつては観世音寺の一部であった戒壇院も忘れずに訪れたい。

撮影場所

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