祖谷渓の小便小僧

祖谷渓の小便小僧

おそらく、いや、確実に女性の方々からは支持や共感を得ることはできないと思うが、男であれば、一度はこんなところで「立ちション」をしてみたい。

女の人は、「男の人って幾つになっても子供ね」と思うだろう。そう、男はいくつになっても子供なのである。こんな開放感のある、雄大な景色の中で盛大に放出してみたいと常日頃(?)から思っていたりするのだ。

徳島県西部の山の中、祖谷川流域にある「祖谷(いや)」は、かつて岐阜県白川郷、宮崎県椎葉村と並ぶ「日本三大秘境」の一つにも数えられたという場所。椎葉村は依然、山深い「秘境」の地の雰囲気を保っているものの、高速道路が通り世界中から観光客が訪れる白川郷がもはや秘境とは呼ばなくなってしまった今、祖谷こそ、まさに「深山幽谷」の言葉が相応しい、日本でも数少ない秘境と呼べる地だ。

四国を車で走ったことがある人ならご存知だとは思うが、面積だけでみれば北海道の2割ほどしかない四国は実はかなり山深い。特に徳島西部は、吉野川とその支流が、千メートル級の急峻な山々が連なる四国山地に深い谷を刻んでおり、容易に辿りつけないような山岳地帯となっている。この祖谷も、深い谷と高い山に阻まれて外界との往来が困難であったため、近年まで、独特の風習、生活習慣、祭礼等が多く残されていたという地域であり、昔に比べれば相当交通が便利になった現代においてもなお、くねくねの山道を行かなくてはたどり着くことができない場所だ。

屋島の戦いで落ち延びた「平家の落人」がこの地に住み着いた、という伝説も頷けるほどの隔絶された雰囲気に包まれており、山の上に通る道からはるか下を流れる祖谷川を眺めると、まさに目がくらむような思いがする。高所恐怖症の方には「ありえない」であろうそんな場所、絶景の中に一人たたずむ小便小僧は、祖谷街道の建設の際に残った岩の上に立っている。崖の上にせり出すようにある岩の上では、かつて周辺に住んでいた子供たちや通りかかった旅人達が、度胸試しの為に上に乗ったり、飛び跳ねたりしたといい、この小便小僧はそんな逸話を元に1968年に作られたものだ。

写真は11月の小便小僧と祖谷の風景。祖谷は、いつ出かけても雄大な景色を見ることができるが、紅葉のこの時期は特におすすめだ。特に、この小便小僧のいる場所からは、「色づいた木々が点在する美しい山々をバックに放尿する小便小僧のいる風景」という、美しさとシュールさの入り混じった愉快な風景を楽しむことができる。

祖谷渓の小便小僧(小便岩)

交通(車で): 徳島自動車井川池田ICから国道32号線高知方面、県道32号線経由約50分。
交通(公共交通機関で):JR阿波池田駅から四国交通バスかずら橋行で、約55分、風呂ノ谷バス停下車、徒歩すぐ。
問い合わせ: 三好市観光案内所 0120-404-344

撮影場所

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