富士山と山中湖

富士山と山中湖

結局、ほとんど寝る間もなかった。

ぎりぎりまで仕事をして、朝早い電車で空港へと急ぎ、搭乗手続きをして福岡行の飛行機に乗り込んだ。

荷物を頭上の収納スペースに入れた後、席に腰掛けシートベルトを締める。ほっとした安堵感と睡眠不足ですぐに眠りに落ちてしまったらしい。気が付けば、飛行機はいつの間にか離陸していた。

目を覚まして窓から何気なく外を見ると、黒々とした円錐形の山が見える。左側には湖、その向こうにはなだらかに弧を描く海岸線。「!!」眠気が一気に吹き飛んだ。見紛うことなき、富士山だ。

こんなアングルから富士山を眺めるなんて、なんて贅沢で豪勢なことだろう。江戸時代の人がこの風景を見たら、感動を飛び越えて、驚嘆の余り言葉を失ってしまうかもしれない。文明の発達は、メリット、デメリット渾然一体となって、私たちの生活と精神に様々な影響を与えてきたが、こんな絶景を見ることができるのは、やはり素晴らしいことだ。いや、でもやはり、古来より崇高で高貴なる存在、信仰の対象であった神の山を、ぼんやりと上から見下ろしてしまう事は、あまりいいことではないのではないか。こうして少しずつありがたみや謙虚さを失くし、何でもできると思い込んだ人間は、越えてはいけない一線を越えていってしまうのかもしれない。そんなことをなんとなく考えている間に、富士山はあっという間に視界から消えて見えなくなってしまった。

どこから見ても美しい富士。人間が上から見るくらい、全くなんとも思わない度量と包容力はあるに違いない。

富士山の初冠雪は、例年9月の下旬から10月の半ば。上から見た限りまだ雪は積もっていなかったようだが、ぼちぼち初冠雪のニュースが飛び込んでくる頃だろうか。

Memo

全日空のウェブサイト内「空から見える景色のご案内」のページで、出発地と到着地を選ぶことにより、右、左、それぞれの窓から見える景色がすぐわかる様になっている。例えば、羽田から宮崎に向かう便では右窓から、「横須賀、富士山、紀伊半島、室戸岬」、同じく羽田から高松に向かう便では左窓から「富士山、知多半島、伊勢湾、大阪湾」、関西空港から旭川に向かう便では左窓から「琵琶湖、能登半島、佐渡島、男鹿半島、津軽半島」といった具合だ。天候などの影響で飛行経路が変更になる場合もあり、また、時間帯や天候によって見えないこともあるが、飛行機でおでかけになる際、事前にインターネットで席を予約する時や空港での搭乗手続き時に、参考にしてみてはいかがだろうか。

撮影場所

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