雲間から光差す時

島根県出雲市多伎町

雲の隙間から、穏やかな夏の日本海に光が差し込んでいる。
それはまるで、空に上っていく光の梯子のよう。いや。空から降りてくるための梯子だろうか。

少しずつ周囲の音は消えてゆき、静かな静かな時が流れる。

あまりに美味しいものを口にした時には、「!」と唸ってすぐには感想が出てこないように、
心から驚き嬉しい時には、感激ですぐには言葉が出ないように、
本当に美しい風景を見た瞬間、どうやら人は、言葉を失ってしまうようだ。

目から身体の中に飛び込んできた美しき粒子が、細胞の動きを止めてしまったかのように、
言葉を発するのも忘れ、瞬きも忘れ、身じろぎもせず、ただ海と空を見つめる。

そうして、そこにどれほど佇んでいたことだろう。数十分か、数秒か。

ふと我に返ってシャッターを二回切った。

ほどなくして、光の梯子は消えてしまった。後にはただ、静かな空と静かな海。

風の音が遠くに聞こえる。

撮影地:島根県出雲市多伎町

撮影場所

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