尺取り虫

しゃくとりむし

全身を使って、長さを測っているように見えることから、その名がつけられたという尺取り虫は、シャクガ科の蛾の幼虫だ。

「えっちら、おっちら」「よっこいしょのどっこいしょ」という声が聞こえてきそうなほどに、健気に木の枝の上を歩いているように見える。その姿は、ユーモラスで、かわいらしい。

上半身をぐいっと持ち上げるその筋力はどうだ。慎重かつ力強いその動き。下半身をすいっともってくるその仕草。右から左に歩いていくのを、日がな一日眺めていても飽きなさそうな気がする。

写真の尺取虫は綺麗な薄黄緑色だが、木の枝に擬態する種類は、一見本当に木の枝に見えるほどの色・形をしている。ぴんと全身をつっぱって木の幹にひっついている様子は、まさに木の枝。お茶の入った土瓶の持ち手を、木の枝だと思って尺取虫に引っ掛けてしまい、尺取虫もろとも土瓶が地面に落ちる。その為、かつては「土瓶落とし」とも呼ばれた、なんていう嘘みたいな話もあるほどだ。

木の枝に間違えられて、土瓶を引っ掛けられた尺取虫は、えらい迷惑だったに違いない。せっかく木の枝に擬態していたのに、突然とんでもなく重たいものを引っ掛けられるんだもの。

そんなことを言っている間に、写真の尺取虫くんは、地面に戻した木の枝を無事渡りきり、草むらの中にえっちらおっちら入っていった。

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